【五輪代表】新戦力が躍動。既存メンバーに宣戦布告どころかダメ出し!

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Nikkan sports

五輪代表が仙台と強化試合を実施。小林祐希(写真左)をはじめ、予選メンバーではない『新顔』が奮闘した。五輪代表が仙台と強化試合を実施。小林祐希(写真左)をはじめ、予選メンバーではない『新顔』が奮闘した。 4月11日、U-23日本代表が3日間の強化キャンプの締めくくりとして、J1仙台との練習試合を行なった。

 五輪本番までの間、強化を図る時間が限られているという事情もあり、U-23代表にとっては貴重な実戦の場となったこの試合。だが、結果こそ1-0で勝利したものの、内容的には必ずしも満足いくものではなかった。U-23代表の関塚隆監督が語る。
「1試合を通じて、ミスの目立つ試合だった。チーム全体でやろうとしていることを意識してやってくれたが、まだ頭で考えながらやっている」

 特に劣勢を強いられたのは、前半の戦いだ。両チームが前後半で大きくメンバーを入れ替えた試合は、大まかに言って、前半が主力組同士の顔合わせ。U-23代表は、最終予選を戦ってきたメンバーを中心に臨んだ。

 ところが、現在、無敗でJ1首位を走る仙台を相手に、ほとんど手も足も出なかった。立ち上がりから仙台の速いプレスに苦しみ、ミスを連発。攻撃の形を作れず、苦し紛れに縦パスを入れてはボールを失った。

 逆に仙台の速い攻撃に、再三サイドを突破された。仙台がチャンスを決めきれずに0-0で折り返しはしたが、内容的には、一方的と表現して構わないほどだった。

 確かに、選抜チームのU-23代表と、クラブチームの仙台とでは、チームの完成度に差があるのは仕方がない。だとしても、ほとんどが所属クラブでレギュラーを務める選手たちであり、まして前半のメンバーは最終予選を通じてそれなりの時間を共有しているのだから、チームとしてのベースは固まっているはず。というより、固まっていなければならないはずだ。それを考えると、少々寂しい内容だったと言わざるをえない。

 一方、前半とは対照的に、少なからず新たな可能性が示されたのが、後半の戦いだった。2トップに杉本健勇(東京V)、宮吉拓実(京都)、右MFに水沼宏太(鳥栖)、左MFに大前元紀(清水)を配し、これにボランチの小林祐希(東京V)が絡んでいく攻撃は、なかなかに迫力があった。

「所属クラブでいいパフォーマンスを見せている新しい選手を、このチームでも力を出してくれると期待して呼んだ」
 そう話す関塚監督の期待に応えた形だ。

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