【Jリーグ】縮まった実力差。
浦和が王者・柏に勝利して今シーズンも混戦模様。

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

チームはまだ発展途上だが、ホームでの開幕戦で柏に勝利した浦和。チームはまだ発展途上だが、ホームでの開幕戦で柏に勝利した浦和。

 3月17日に行なわれたJ1第2節で、昨年15位の浦和が、昨年優勝の柏を破って今季初勝利を挙げた。

 昨シーズン、辛うじてJ2降格を免れた浦和。そこには、かつてのアジアチャンピオンの面影はなく、漂う停滞ムードばかりが強かった。

 そんな浦和が今年、新たに迎え入れたのが、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督。昨年まで広島を率い、魅力的なパスサッカーを植え付けた新指揮官に、名門復活の任は託された。

 しかし、ペトロヴィッチ監督にしても、一朝一夕にして広島でパスサッカーを完成させたわけではない。その過程で、広島はJ2降格の憂き目にも遭った。浦和もまた、当然、新たなサッカーに取り組んで日が浅い以上、手探り状態でシーズンを戦い始めなければならない。そこでは、結果こそが、選手たちに自信と手応えを与えてくれる最高の良薬となる。

 だからこそ、開幕2戦目にして、前年王者を倒してシーズン初勝利を挙げたことは、単なる1勝という以上の価値があったに違いない。ペトロヴィッチ監督は、「やりたいことをコンスタントに出すには、まだ時間がかかる」と付け加えたうえで、こう話す。

「立ち上がりから、柏のキーマンであるブラジル人選手ふたり(レアンドロ・ドミンゲス、ジョルジ・ワグネル)をうまくコントロールできた。落ち着いてゲームを進め、いい形(のチャンス)をいくつか作れた」

 同様の感覚は、選手たちの手のなかにもあった。広島在籍時代から、指揮官の目指すサッカーを知る柏木陽介は言う。

「プレイのタイミングや質といったところで、まだ(目指すサッカーへの)理解度が足りない。でも、2戦目にしてはうまくいったと思う」

 また、ペトロヴィッチ監督が、「(開幕戦で)広島に負けた後、落ち着いて準備してきた。負けた後にどう振る舞うかが大事」だと話したように、前節の反省を生かすこともできていた。センターバックの永田充が振り返る。

「開幕戦を見ていて、真ん中にドリブルで進入していく動きがなかったので、それは監督からも指示があったし、意識していた。(自分がドリブルで上がっていくことで)相手は中央に絞るので、サイドも高い位置にポジションを取ることができた」

 これに同調するように、3-6-1の右アウトサイドを務める平川忠亮が言う。

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