【五輪代表】 「自分たちのサッカー」は実現できたのか?
マレーシア戦で見えたチームの成長と課題

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

先発した扇原を中心に攻撃を組み立て4-0で勝利した五輪代表先発した扇原を中心に攻撃を組み立て4-0で勝利した五輪代表 2月22日にクアラルンプールで行なわれた、ロンドン五輪アジア最終予選の第5戦で、日本がマレーシアを4-0で破った。

 シリアと勝ち点でも得失点差でも並んでいた日本にとって、このマレーシア戦は、できるだけ多く得点して勝利したい試合。だが、「大量点を取らなければならない」という意識が強くなりすぎれば、逆に焦りを招いてしまう危険性もはらんでいた。

 しかも、試合開始から30分を過ぎてもノーゴールという嫌な展開。もし最初の得点を決めた選手がすぐにゴールからボールを拾い出し、センターサークルへ走って戻るようなら、それは焦りの兆候だったに違いない。

 しかし、そんな不安は杞憂だった。

 実際、酒井宏樹の先制点が決まった瞬間、ピッチ上の選手たちは、存分に喜びを爆発させた。彼らが作った歓喜の輪は、しばし解かれることがなかった。

 それは、選手たちが大量得点に対し、強迫観念を持っていないことの確かな証拠であった。原口元気は言う。

「大量得点が求められていたけど、チーム全体で話し合って、いつも通り戦うことを心がけました」

 そして、複数の選手が図らずも口にしたのは、「焦らずに戦えた」という言葉である。

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