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[2012年02月09日(木)]

【Jリーグ】移籍の収支決算。補強に成功したチーム、ベスト3は?

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

日本代表メンバーをはじめ、長年チームの顔だった大物選手の移籍もあり、例年以上の賑わいを見せた今オフの移籍市場。どこがいちばん効果的な補強に成功したのか。逆に、厳しい状況に陥ったチームはどこか。各クラブの新戦力をもとに、2012年シーズンの上がり目チームを、解説者の名波浩氏が診断する。

阿部勇樹の獲得に成功した浦和レッズ。攻守の要となる人材を得て、今季の躍進が期待される。
2012年シーズン
上がり目ランキング

1位:浦和レッズ

 昨季の順位(15位)より確実にアップするのは、浦和レッズだろう。欧州のクラブに在籍していた阿部勇樹(レスター/イングランド)と槙野智章(ケルン/ドイツ)を獲得。指揮官に昨季までサンフレッチェ広島を率いていたミハイロ・ペトロヴィッチ監督を迎え、彼の攻撃的なサッカーを実践するうえで、格好の補強ができた。

 槙野は、柏木陽介とともにペトロヴィッチ・スタイルの「伝道師」的な役割を果たすとともに、攻守両面でベースアップが期待できる選手。特に攻撃では、積極的な攻撃参加とセットプレイのターゲットとして、チームの得点力アップに貢献するはずだ。

 そして、阿部が入ったことでゲームが締まるのは間違いない。おそらくポジションは3-6-1布陣の、最終ライン「3」の真ん中。堅実な守備力には定評があり、攻撃でも効果的なくさびのパスを出せるし、機を見て前線に自らボールを運ぶこともできる。新たなレッズサッカーのキーマンであり、彼の存在がチームに安定感をもたらしてくれるだろう。

 レッズはもともと人材が豊富で、原口元気、山田直輝、濱田水輝、高橋峻希、小島秀仁など、各ポジションに五輪代表クラスの活きのいい面々がズラリ。彼らが阿部や槙野とうまく融合すれば、かなりいいチームになりそうだ。

 唯一、気になるのは、レッズには「佐藤寿人」がいないこと。つまり、敵の守備網をこじ開ける選手はたくさんいるけれども、確実にゴールを決められるフィニッシャーがいない。おそらく上半分(9位以内)には入れると思うが、そこからさらに上半分(4~5位)を狙うには、その穴をどう埋めるかがカギになる。

2位:ヴィッセル神戸

 決定的な仕事ができる、野沢拓也(鹿島アントラーズ)の加入が何より好材料。毎年7、8点はゴールを決めて、10アシストくらい記録する選手なわけで、その分の上積みが望める。特にヴィッセルは、中盤でゲームを作る選手がおらず、昨季は大久保嘉人が図らずもこなしていた印象がある。その担い手としても、まさに野沢はぴったり。彼のおかげで、選手各々の役割分担が明確になり、チーム構成におけるプラス作用も計り知れない。

 加えて、出場機会に恵まれればシーズンふた桁得点が期待できる田代有三(鹿島)をはじめ、高さのあるDF高木和道(ガンバ大阪)に、ボランチの軸として考えられる橋本英郎(ガンバ大阪)と、計算できる選手が各ポジションに加わった。非常に理に適った補強ができ、相当なベースアップが見込める。

 そして先日、その動向が注目されていた、クロアチアのハイデュク・スプリトに在籍していた伊野波雅彦の電撃入団が決定。課題の守備面を補うにはもってこいの人材の獲得に成功し、昨季の9位から5、6位に浮上できるだけの戦力が整った。

3位:FC東京

「上がり目」という意味では、FC東京もそのひとつ。J1でも十分に上位を狙える力がある。

 今野泰幸がガンバ大阪に移籍したのはもちろん痛いが、それを補って余りある補強ができた。具体的には、加賀健一(ジュビロ磐田)やチャン・ヒョンス(延世大/韓国)が今野の穴を埋める。そのうえで、ストライカーの渡邉千真(横浜F・マリノス)と左サイドバックの太田宏介(清水エスパルス)を獲得し、選手層の厚みが増した。

 渡邉は馬力があって、一本のタテパスで決定機を作れる選手。押し込まれていても、梶山陽平や谷澤達也らが敵の裏に効果的なパスを出せば、渡邉ひとりで状況を一変させてくれるはず。キープ力のあるルーカスとは違うタイプのFWで、異なるふたりのコンビネーションから新たな展開が生まれるかもしれない。

 同様に、太田もFC東京にはいなかった存在。スピードがあって、相手との駆け引きもうまく、これまでのチームにはなかったアクセントを作り出してくれるだろう。

 さて、ここまで効果的な補強によって昨年よりも魅力的に生まれ変わったチームを見てきた。が、その一方で昨年の成績がウソのように苦しい戦いを強いられそうなチームも存在する。

 その筆頭は、サンフレッチェ広島ではないだろうか。李忠成(サウサンプトン/イングランド)の抜けた穴がとにかく大きい。単純計算で、昨季より15得点も減る。それを補えるだけの人材は、ちょっと見当たらない。

 また、J2から昇格してきたサガン鳥栖とコンサドーレ札幌の戦力不足も否めない。レベルが数段アップするJ1で、J2時代とほぼ変わらないメンバーでどこまでやれるか……。札幌は、攻撃を組み立てる選手が手薄なのもマイナス材料になる。

 その他、どう転ぶかわからないのが、川崎フロンターレとジュビロ磐田。川崎は、新外国人選手の出来次第だろう。彼らが活躍すれば急上昇もあるが、期待外れに終わった場合は、昨季同様に苦戦を強いられるかもしれない。

 磐田は、ベンチメンバーを含めて7、8人の主力がチームを去った。前田遼一、駒野友一の残留は願ってもないことだが、かつてこれほどメンバーの顔触れが変わったことはない。それがいいほうに出るのか、悪いほうに出るのか、非常に興味深い。

 あと、心配なのが、セレッソ大阪。夏の海外マーケットにおいて、清武弘嗣やキム・ボギョンの欧州移籍は十分に考えられる。それまでに勝ち点を稼いでおくか、彼らの穴埋めをリストアップしておかなければ、思わぬ「悲劇」が待っているかもしれない。

 いずれにしても、あと1カ月でJリーグが始まる。ガラッとメンバーが変わったチームが多いということは、今までの勢力図もガラリと様変わりすることを意味する。思わぬチームの健闘・躍進がリーグを盛り上げてくれることを期待したい。

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