INAC神戸がバルセロナと対戦。選手が体感した「憧れのクラブ」の実力 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

 ところが前半終了間際、バルセロナのシュートを澤穂希がブロックするも、こぼれたところをおしこまれて同点とされてしまう。

 後半、星川敬監督は澤に代えて、新加入の京川舞をトップに投入。澤のポジションには南山が入り、大野がポジションを下げた。これでボールの取りどころは増えたが、そこから先へなかなか思うように運ばせてもらえない。バルセロナも、長短のパスを使い分けながら、揺さぶりをかけてきた。

 そんな中、69分に京川がドリブルで仕掛け、GKと1対1の場面を迎えるがシュートはGK正面。3分後には高瀬愛実の切り返しを大野がスルーし、つめていたチ・ソヨンのシュートがポストを直撃するなど、チャンスをゴールにできないまま時間が経過した。

 バルセロナもインターセプトからのカウンター攻撃を見せる。試合終盤、あわやのシュートをストップしたのは、身体を投げ出した田中明日菜だった。結局、終始早い展開で進んだ試合は、両者ともに最後まで一歩も引かず、1-1のドローに終わった。


 神戸の選手たちはとにかく「バルセロナ」に目がない。とりわけ大野は無類のバルサファン。男子と同じユニフォームを着るレディースの選手に羨望の眼差しを向けていた。

「2012年の初戦をバルサと戦えて光栄。日本では、相手にこれだけボールを回されることがないし、(ボールを支配されると)これだけキツイということがわかった。本当に勉強になりました」としながらも、このゲームをめいっぱい楽しんでいた。

 しかし、一番驚いたのは、神戸の選手たちのコンディションだ。

 始動4日目にして、シーズン中のスペインリーグのトップチームとアウェーで互角以上の戦い。しかもそれを楽しみながらやってのけた。これがさらに大いなる刺激を彼女たちにもたらしたことは言うまでもない。INAC神戸にとって上々の2012シーズンスタートとなった。

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