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【なでしこリーグ】さらなる高みへ。INAC神戸と女子サッカー界の成長 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko


 その言葉には、常に注目される中で結果を出し続けることの難しさがにじんでいた。個の能力とチームコンセプトはともになでしこリーグ随一。引き分けはあったものの、無敗で2011シーズンを終えた神戸は、これでリーグと選手権の2冠を達成した。


 神戸独走の予感はシーズン前からあった。ワールドカップドイツ大会でなでしこジャパンが優勝を遂げ、世界と渡り合ううちに、川澄奈穂美、海堀あゆみらが頭角を現した。さらにこれらの選手の活躍に引き上げられるようにして、甲斐潤子や那須麻衣子、高良亮子といった選手も力をつけてきた。

 澤、大野、近賀ゆかりたちが試合や練習で高いレベルのパフォーマンスを示し、それを全力で吸収しようとする他の選手たちの努力が相まって、神戸を個だけでないチームに引き上げた。神戸にとっては実り多きシーズンだったことは間違いない。

 他チームもリーグ2位となった日テレ・ベレーザや、選手権で初の決勝へ進出した新潟など、力を伸ばしたチームはあるが、神戸に土をつけることはできなかった。

 成長を続ける神戸には、来シーズンU-20女子代表のエース京川舞、田中陽子、仲田歩夢ら若い世代の有力選手が加わる。層が厚くなる分、チーム内での競争も熱を帯びてくるだろうが、だからこそ、神戸はさらに上のステージへ向かうはずだ。

 また、神戸は11月に行なわれたイングランド代表を数多く擁するアーセナルレディースとの対戦で、ドローになったものの世界レベルを体感した。こうした展開がなでしこリーグで今後も見られるようになることが、現在の女子サッカーブームを根付かせ、発展させるための第一歩ではないだろうか。

 INAC神戸はどんどん"世界"へ近付こうと、全力でつき進むだろう。もちろん、この勢いが神戸だけのものであってはいけない。2012シーズンは、他チームも簡単には神戸の独走を許さないはずだ。その意地をどこまで力に変えていけるかが、さらなる成長のポイントとなる。

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