W杯アジア3次予選のタジキスタン戦。日本は8-0で完勝したホーム戦同様、アウェーでも4ゴールを奪って難なく勝利をモノにした。
まるで河川敷のグラウンドのような劣悪なピッチコンディションで行なわれ、立ち上がり15分は、さすがに選手たちの神経もピッチの悪さにどう対応するかに注がれていた。その分、攻守両面で思うようなプレイができず、今ひとつリズムに乗り切れない面があった。
それでも、遠藤保仁にボールが集まり出してから、徐々に攻撃のリズムが生まれた。遠藤らしいボールさばきから効果的にタテパスが入るようになって、タジキスタンゴールを脅かし、フラストレーションを感じるようなサッカーではなくなっていった。そして、テンポのいいパスワークでチャンスを作ってゴールを決め、日本はうまく試合をコントロールできたと思う。
守備に関しても、2度ほどミドルやロングシュートによる危ないシーンはあったものの、全体的には非常にまとまっていた。押し込んでいるときでもセカンドボールはほとんど拾えていたし、相手の仕掛け、主に前線へのロングボールに対しても今野泰幸と吉田麻也がきっちり対応。相手にボールが入る前にカットするシーンがとても多く、ノーファウルでボールを奪う場面も随所に見られた。それも、攻撃にいいリズムを与えたひとつの要因だろう。
後半途中、少しだけ間延びして、日本側から見て膠着(こうちゃく)した時間帯があった。2点目を奪って積極的に点を取りに行く姿勢が薄れ、逆にロングボールの質が上がり始めたタジキスタンにボックス内まで攻め込まれるシーンも増えた。しかしそうした点も、選手たちには想定の範囲内だったと思う。試合全体を通して見れば、攻守ともに際立った問題はなく、選手個々の距離間を大事にして、自分たちの攻撃、自分たちの守備というイメージを大切にして戦っていた。
選手に目を向ければ、ピッチコンディションが悪くても動じない岡崎慎司の働きが光っていた。誰かがボールを奪われれば、すかさず体を張ってボールを奪いにいくし、攻撃では最後までまったく手を抜かずにゴールへと向かっていった。2得点という結果も出し、改めてその泥臭く献身的なプレイぶりには脱帽した。まさに、真のプロフェッショナルプレイヤーだと思う。
DF陣では、先制点を挙げた今野だろう。周りの選手とすごくコミュニケーションをとっていて、それに合わせたポジショニングやカバーリングが非常によくできていた。自分のスペースを捨てて、危険な場所へ飛び出していく判断も抜群で、日本の守備を本当によく支えている。
さて、次は北朝鮮戦。今度は人工芝のピッチということで、それがいいほうに出るのか悪いほうに出るのかわからないが、今回のピッチに比べれば気を使うことはないだろうから、立ち上がりからきちんとゲームを組み立てていきたいところ。ミドルシュートなどによる危険なシーンも見せないようにして、結果は1-0でも「完勝」という内容の試合を見せてほしい。そして選手には、アウェーの北朝鮮というのはなかなか経験できることではないから、試合の雰囲気を含めて存分に楽しんでもらいたい。
今後に向けて日本の課題を挙げるとすれば、枠内へのシュートを増やすべきだろう。タジキスタン戦でも特に前半は枠内へのシュートが少なかった。たとえ点が取れないにしても、枠内にシュートを放つことで相手を威圧できるだけに、そこの精度は高めていきたい。
また、球離れが早く、相手につかまらない美学を持ったテンポのいいサッカーが今の日本のストロングポイントであるにもかかわらず、相手を崩しにいったときに手数をかけ過ぎるときがある。せっかくシンプルにボールを回せて、密集と分散(展開)のバランスが今はすごくいいのだから、無駄なプレイは極力減らしていくべきだろう。今後、さらに厳しい戦いを迎える最終予選では、その辺のバランスがより大切になると思うだけになおさらだ。
そこでひとつ、新たな課題というか、テーマが浮かび上がる。本田圭佑が復帰したら、ザッケローニ監督はどんなサッカーを見せてくれるのか、だ。本田を起用しても現状のテンポの速さをキープしていくのか、そして本田自身もそれに合わせていくのか。はたまた、アジアカップのように苦しい戦いの中では本田のキープ力が有効なだけに、それまでの本田のスタイルを生かしたサッカーに戻すのか。ザッケローニ監督の頭の中では葛藤(かっとう)があると思うが、見る側としては興味深いところだ。




















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