W杯アジア3次予選のタジキスタン戦(10月11日)で8-0と圧勝した日本代表。その引き金となる先制ゴールを決め、一躍ブレイクしたのが、ヴァンフォーレ甲府のハーフナー・マイクだ。
思い出されるのは、約半年前に長居スタジアムで行なわれたチャリティマッチ。ハーフナーは、日本代表の対戦相手となるJリーグ選抜の一員として後半途中から出場したものの、実況のアナウンサーが「ヴィッセル神戸所属」と間違えて紹介するほどの知名度しかなかった。大した見せ場も作れず、そのパフォーマンスには、ヴァンフォーレ甲府サポーターもかなり落胆したものだ。
だが、この半年間の成長ぶりには目を見張るものがある。特に、日本代表に招集されてからの変貌ぶりには驚かされる。
ご存知のとおり、ハーフナーはかつてJリーグで活躍したオランダ出身GKハーフナー・ディド(現清水エスパルスコーチ)の長男で、父親から譲り受けた194cmの長身を生かしたヘディングシュートが最大の武器。加えて、長身選手には珍しく、しなやかな身のこなしと足元のテクニックも兼ね備えている。さらに、昨季のJ2で得点王に輝いているように、ストライカーとして最も大事な得点力を秘め、潜在能力の高さにはもともと定評があった。
ただし、代表入りするまでは、ゴールの内容が今ひとつだった。夏場までに量産していたほとんどのゴールは、勝敗が決した後か、相手が前がかりになって守備が疎(おろそ)かになっている場面が多かった。また、厳しいマークを受けると、自分の武器を発揮できないばかりか、試合から完全に消えてしまうケースも珍しくなかった。ゆえに、代表入りを積極的に推す声はそれほど多くはなかった。
ところが、代表合宿に招集されてから、ハーフナーは大きな変化を見せ始めた。
まず、ボールの受け方に工夫が見られるようになり、相手の厳しいマークを外す動きを意識するようになった。それは、ザッケローニ監督からくさびのパスの受け方について指導されていることが影響しているようだ。また、レベルの高い代表選手と一緒にプレイすることによって、動き出しやゴール前への入り方といったスキルで新しい引き出しを手に入れたことも大きい。
「リーグ戦で結果を残して、代表に呼ばれ続けることが大事」と語るハーフナーは、代表で得たそれらの収穫をヴァンフォーレ甲府の試合で試行錯誤しながらトライし続けてきた。それが、タジキスタン戦の活躍にも表われていた。
そして、自らの進化を改めて証明したのが、Jリーグ第29節のセレッソ大阪戦だった。これまでには見られなかったパターンで、見事な2ゴールを決めたのだ。
1点目は、左からのクロスに対して、ふたりのDFの間を割って入ってスライディングシュート。甲府の1点リードで、相手のプレッシャーがまだ厳しい状況の中、抜群のタイミングで決め切った勝負強さは圧巻だった。2点目は、自陣から約70メートルの距離をドリブルで独走して決めたゴールだった。一緒に攻め上がるパウリーニョにパスを出すことも考えられたが、ひとりでフィニッシュまで持ち込み、ゴールゲッターとしてのたくましさを感じさせた。
振り返れば、タジキスタン戦のあと、「2ゴールはうれしいけど、こういう(大味な)試合だったんで……」と、2ゴールの活躍を煽(あお)るメディアの質問にも、冷静に対応するハーフナーの姿があった。周囲に踊らされず、クールに自己分析ができている彼の進化はまだまだ続きそうだ。





















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