イ・ボミの人生を変えた「勇気ある決断」と「運命の出会い」

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

女王イ・ボミ、栄光への軌跡(2)

 2015年シーズン、日本女子ツアーで見事賞金女王に輝いたイ・ボミ。彼女がそれだけの結果を残せたのも、両親が深い愛情を注いできたからだ。

 父はどんなに忙しくても、練習場や試合会場までの送迎をし、娘の練習や試合を常に見守ってきた。そして母は、娘ができるだけ不自由なくゴルフがやれるよう、必死に働いてその資金を生み出してきた。

「チーム・イ・ボミ」のサポートなくして、目標達成はなかったと語るイ・ボミ(中央)「チーム・イ・ボミ」のサポートなくして、目標達成はなかったと語るイ・ボミ(中央) ただ、そうした状況を、家族の誰もが快く思っていたわけではなかった。親の愛情と関心が、イ・ボミに偏り過ぎるあまり、ひとつ下の妹ボベさんは「寂しい思いをしていました」と漏らす。

「昔はボミオンニ(姉)のことが嫌いで、よく喧嘩していました。そのことは、今でも覚えています。結局、両親がオンニばかりかまって、尽くしていたから、幼心に嫉妬していたんでしょうね(笑)」

 そうは言っても、ボベさんは姉のことを陰ながら応援していた。喧嘩するのも、姉にがんばってほしかったからだ。だからこそ、イ・ボミの活躍には心から喜んでいる。今では、「ボミオンニとも、すごく仲良し」(ボベさん)で、『イ・ボミスクリーンゴルフゾン』がある同じビル内に美容室を構えて、その責任者として働いている。

 イ・ボミが韓国に帰ってきたときには、その妹ボベさんと、さらに下の妹ジェニさん(22歳。ネイリスト)と、必ず一緒に出かける。そして、ショッピングや食事を楽しむという。自らがゴルフをするために、妹たちにどれほどの迷惑をかけてきたことか。その申し訳ない気持ちが、イ・ボミの心の中にずっとあるからだ。

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