【ゴルフ】松山英樹、語録で振り返る「怪物のルーキーイヤー」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by スポニチ/Getty Images

 日本ゴルフツアー機構(JGTO)の会長を務める海老沢勝二氏(元NHK会長)は、12月9日に開催されたツアー表彰式後の会見で、今年をこう総括した。

「松山英樹選手にはじまり、松山英樹選手に終わった1年でした」

 その言葉に、異論を挟む者は少ないだろう。

新人とは思えぬ「規格外」の強さを発揮した松山英樹。新人とは思えぬ「規格外」の強さを発揮した松山英樹。 国内ツアーにおいて、わずか13試合の出場ながら計4勝を挙げ、ルーキーとして初めての賞金王となった。表彰式で受賞したタイトルは他に、平均ストロークやパーキープ率、バーディ率、サンドセーブ率などを加えて合計9冠。誰がどう見たって、今季の日本男子ゴルフ界の顔は、松山英樹だった。

「自分でも、ここまで賞をいただけるとは思っていなかったです。アメリカでも同じぐらいの賞をいただけるようにがんばります(笑)」

 松山が2013年シーズンからのプロ転向を視野に入れたのは、前年の初頭だった。そのため2012年は、プロに臨む準備期間に充て、食事とトレーニングの量を増やし、シーズンを戦い抜くだけの身体作りから着手した。それとともに、ゴルフに関しても意識改革を自身に課していた。

 松山は以前、アマチュアとプロの違いやプロに臨む心構えについて、こう話したことがある。

「アマチュアであるうちは、予選落ちも2位も同じととらえていて、優勝のことだけを考えていれば良かった。でも、プロでもそういう姿勢でいたら、ここ一番でミスをしてしまう。まずは予選を落ちないことを考えて、それができたらベスト10入りを狙っていくような姿勢が大事になると思います」

 年が明けて今年、松山は4月2日にプロ転向会見を在学中の東北福祉大で行なった。「将来は、海外メジャーを全部勝ちたい」と高らかに宣言。国内ツアーの開幕戦、東建ホームメイトカップ(4月18日~21日/三重県)で10位に入ると、続くつるやオープン(4月25日~28日/兵庫県)でプロ転向後初優勝を飾った。さらに、3戦目(2位)、4戦目(2位タイ)でも優勝争いに加わって、5戦目のダイヤモンドカップ(5月30日~6月2日/茨城県)で早くも2勝目を挙げた。

 その時点で出場が確定していた海外メジャーは、今年3月のアジア地区予選会を勝ち抜いた全英オープン(7月)だけだったが、松山は全米オープン(6月)の日本地区の予選会(5月27日)をダントツの1位で通過して同大会の出場権を獲得。国内外のトーナメントで結果を残し、ワールドランキングを上げることで8月の全米プロの出場権も手にした。

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