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【ゴルフ】松山英樹が進化する。プレジデンツカップ出場の「価値」 (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 唯一、米国選抜が敗れたのは、1998年大会だった。そのとき、大活躍したのが、最優秀選手賞(MVP)を受賞した丸山茂樹だ。今年の大会では、その功績もあって、世界選抜の副キャプテンを務めることになった。

「英樹には、いろいろと教えてあげたい」と、常々語っている丸山。その言葉は、実に重く、貴重だ。

 かつて、松山は青木功とも接点があった。当時小学生の松山は、愛媛県の奥道後でキャンプを張っていた青木と出会って、それが本格的にゴルフを始めるきっかけにもなった。

 そうやって、松山英樹という選手は、先輩選手たちに可愛がられる側面がある。朴訥(ぼくとつ)で、野太く、誰にでも媚(こ)びることなく接するキャラクターが、周囲を惹(ひ)きつけるのだろう。だがそれ以上に、よりスケールの大きな世界へと向かって、その高みを目指して戦っていこうという信念と迫力を持った松山の姿が、"世界"を知っている先輩プロたちには、眩(まぶ)しくてたまらないのかもしれない。

 プレジデンツカップの練習日、世界選抜副キャプテンの丸山は、松山の練習ラウンドに付き合っていた。そこでは、丸山が自身のアプローチの技を松山に伝授する光景もあったという。丸山の米ツアーでの経験、さらに彼が持っている技量、判断力、ゲームマネジメント、そして世界が認めたアプローチの技術は、これから世界を舞台にして戦っていこうとする松山にとって、最高の味方であり、このうえない財産となる。

 また、プレジデンツカップの世界選抜の一員に選ばれたこと自体、松山にとっては大きな意義がある。世界ランキングの上位選手がズラリと顔をそろえ、そのウイナーズサークル(常に優勝争いを演じる選手たち)のゴルフをつぶさに体感できるからだ。きっと、いい意味で、独特で異質な空気感を味わえる。その仲間入りを果たせたことは、かけがえのない経験になるだろう。

 気がかりは、大会最終日の1対1のシングルスマッチ。松山はマッチプレーが苦手のようなのだ(36ホールのストロークプレー後、ベスト32の選手がマッチプレーで競う日本アマは未勝利)。しかしそれも、心強い副キャプテン・丸山から必勝法を授かっているかもしれない。

 何はともあれ、プレジデンツカップという舞台が松山のゴルフ人生に新たな刺激を与えることは間違いない。もしそこで結果を出せれば、松山の今後がさらに楽しみになる。

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