未来のマスターズ優勝へ。ようやくスタートラインに立った石川遼

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

5度目のマスターズで、その成長ぶりを存分に示した石川遼5度目のマスターズで、その成長ぶりを存分に示した石川遼 
 2013年マスターズ最終日、前半を終えて首位に立ったのは、9アンダーのアンヘル・カブレラ。それに、7アンダーのブラント・スネデカー、6アンダーのジェイソン・デイとアダム・スコットが続いていた。その3打差の攻防を最後の最後まで競い合ったのが、カブレラ、デイ、そしてスコットだった。

 その後、最終組のカブレラが15番の時点では、首位が9アンダーのデイ。続いて8アンダーでスコット、7アンダーのカブレラという順になった。しかしデイが、16、17番で連続ボギー。逆に、カブレラが16番でバーディーをもぎ取って、スコットと首位で並んだ。

 迎えた最終18番、カブレラのひと組前のスコットが、ピン横7mのバーディーパットを沈めて9アンダーとした。力強いガッツポーズを見せたスコット。耐えて、耐えて、辛抱して、ようやくたどり着いた気持ちが、そのガッツポーズに表れていた。

 その様子をセカンド地点で見ていたカブレラは、冷静だった。大歓声でスコットがバーディーを取ったことはわかっていたが、カブレラにとっても次の一打次第ではプレーオフのチャンスがある。最後まで諦めることのない粘りが、彼の心情だ。そして、その姿勢をそのまま具現化するようなベストショットで、ピン横50cmにピタリ。バーディーを奪った。

 まさにメジャーの優勝争いだ。誰もが決して諦めない。ふたりの戦いは「最後まで最大のパフォーマンスを出し尽くす選手が優勝争いに残るんだ」と言っているかのような、壮絶なものだった。

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