【ゴルフ】韓国人選手がこぞって日本ツアーに参戦するワケ

  • 慎 武宏●取材・構成 text by Shin Mukoeng
  • photo by Kouchi Shinji

 彼女たちの日本進出の理由を、韓国のスポーツ紙記者はこう語る。
「アメリカの女子ツアーは、韓国人が強過ぎるのもあってか、年々大会数や賞金規模が縮小傾向にあります。それでいて、レベルが高く、競争が激しい。また、広い国土を横断するために経費もかさみ、生活面でも苦労が多い。そこで浮かび上がるのが、日本なのではないでしょうか」

 2012年、米女子ツアーは賞金総額こそ、4772万ドル(約44億円)と日本女子ツアーを上回っているが、トーナメント数はついに30試合を割って29試合(日本開催のミズノクラシックも含む)となった。

 韓国人プロにとっては、生活習慣や文化面においても、アメリカに比べれば日本のほうが順応しやすい。極端なことを言えば、地元・韓国に住みながらにして、ツアーに参戦するのも可能だ。それでいて、日本のほうがアメリカよりも試合数が多く、賞金も大差ないとなれば、韓国人プロが「主戦場を日本に」と考えるのは自然な流れなのかもしれない。

 韓国男子プロの場合は、女子以上に海外志向が強い。なにしろ国内ツアーのトーナメントの数は、年々縮小傾向にある。2008年には年間20試合あったトーナメントが、2012年には16試合に減った。さらに、年間のツアー賞金総額は130億ウォン(約10億7000万円)に止まり、女子ツアーよりも少なくなってしまったのだ。

 KLPGA(韓国ゴルフ協会)では、不況によるスポンサー離れがその要因だとしているが、キム・キョンテやベ・サンムンら、韓国ツアーの賞金王や人気プレイヤーが次々に海外へ進出してしまったことも無関係ではないだろう。人気低迷は著しく、韓国のゴルフ専門番組『SBSゴルフチャンネル』の関係者が言うには、「男子ツアーのテレビ視聴率は、女子ツアーの3分の1にも満たない」という。

 そうした状況の中で、韓国の男子ツアーはますます縮小されていくと予想される。ならば、トーナメント数が年間25試合、年間賞金総額33億6000万円(2012年)と好条件で、身近な日本ツアーに目が向くのは当然のこと。昨年は、韓国のスター候補生が続々と来日を決め、100名近くの韓国人プロが日本ツアーのQTを受けた。

 そして彼らは、そこをステップにして、レベル的にも、賞金的(年間総額2億7780万ドル/約258億円)にも、世界最高峰の舞台となる米ツアーを目指す。ツアー優勝を果たせば、100万ドル(約9300万円)を超える賞金を手にすることもできる舞台は、プロにとって間違いなく「夢の世界」と言えるだろう。

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