PSG、敗れてなお強し CL準決勝第1戦でポスト直撃2連発弾 エムバペ本領発揮 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【ドルトムントが圧巻の一撃】

 エムバペは欧州を代表するスピードスターとして知られるが、リオネル・メッシ(インテル・マイアミ)、ネイマール(アル・ヒラル)がチームを去ったことで、結果として総合力を高めている感じだ。エムバペは中央でマーカーを背にしながらボールを収めることもできる。ペナルティエリア内でエムバペがボールに触ると、得点は時間の問題かに見えた。

 ドルトムントも、まず目に留まったのが両ウイングだ。ジェイドン・サンチョ(右/イングランド代表)とカリム・アデイェミ(左/ドイツ代表)。PSGの両ウイングが迫力で迫ってくるのに対し、こちらは抜け目のなさがウリだ。試合が両チームのウイング対決の様相を呈し始めるなかで、若干見劣りしていたのがドルトムントの1トップ、ニコラス・フュルクルクだ。れっきとしたドイツ代表のセンターフォワードだが、エムバペと比較される展開に置かれると、存在感が乏しく見えた。

 1トップの差が試合の行方を左右するのではないか、との読みは、まったく逆の形で的中することになった。

 劣勢だったドルトムントは、前半36分、センターバックのニコ・シュロッターベック(ドイツ代表)が、最後尾から前線へ大きなボールを蹴り込んだ。雑なボールかに見えたが、フュルクルクは待っていましたとばかり的確に反応。オフサイドラインをかいくぐるように抜けだし、右足でワントラップするや次の瞬間、左足のインステップでジャストミート。胸の空くような圧巻の一撃をPSGゴールに蹴り込んだ。「お見それしました」と言いたくなったのは、筆者だけではなかったはずだ。

 その後は、得点こそ決まらなかったが、斬るか斬られるかの撃ち合いとなる。試合のハイライトと言うべき、一番の山場が訪れたのは後半6分だった。

 PSGの左SBヌーノ・メンデス(ポルトガル代表)が最後尾からスピード豊かに持ち上がる。デンベレ、アクラフ・ハキミ(モロッコ代表)を経由しながら、ボールは左45度で構えるエムバペの足もとに収まった。

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