スペインがまさかのユーロ敗退危機。なぜルイス・エンリケ監督に批判が集中しているのか (2ページ目)
ルイス・エンリケはそのジョレンテを、大会直前で右サイドバックにコンバート起用している。攻撃の厚みを増すためだったが、その成果の一端は出ているものの、結果は出ていない。
「なぜ、ダニエル・カルバハル、ルーカス・バスケス(ともにレアル・マドリード)のどちらかを招集しなかったのか。彼らは右サイドバックとしてリーガで結果を残しているのに」
一部メディアはレアル・マドリードの選手を外した不満の"はけ口"にしているのだ。
また、ルイス・エンリケは右利きのセンターバックとしてマンチェスター・シティで今シーズンのリーグ戦に6試合しか出ていない(うち先発は3試合)エリク・ガルシアを"秘蔵っ子"として選出し、物議をかもしている。ただ、「大会では使えない」と判断したのか。結局、左利きのエメリク・ラポルト(マンチェスター・シティ)を右センターバックで使わざるを得なかった。
この点は、見通しが甘かったと言わざるを得ない。2人の左利きセンターバックを並べた布陣はボールの回りがやや窮屈で、批判の対象となっている。そしてポーランド戦ではラポルトがロベルト・レバンドフスキに競り負け、ヘディングシュートを叩き込まれた。
「セルヒオ・ラモスを呼んで使っていれば!」
こんな反応にも、「ルイス・エンリケ憎し」の構図が透けて見える。
冷静に考えると、実際にはセルヒオ・ラモスもレバンドフスキをマークしきれていたか、定かではない。ここ1、2年は守備に関して衰えを指摘されてきた。しかも、彼は右利きではあるが、左センターバックを得意としているのだ。
そして一番の争点になったのは、ルイス・エンリケがアルバロ・モラタ(ユベントス)に固執した点だろう。
モラタは走力に長けたカウンター型ストライカーで、基本的にスペースを必要とする。ボールプレーヤーが揃った中盤とはリズムが合わないのだ。大会前のトレーニングマッチでもゴールを決められていなかった。スモールスペースで短いパスをつないで打開するチームの戦い方と合わず、開幕のスウェーデン戦ではチャンスをふいにしていた。
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