今の環境は「ある意味ヤバイな、と」
井手口陽介が悩み抜いて海外へ

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 加えて言うならば、移籍会見の席上で"言葉の壁"について尋ねられ、「言い方は悪いですが......ノリで(笑)」とは言ったものの、もともとの性格がすぐに環境に適応できるほど、オープンマインドではないことも自覚している。だが、それでもなお、井手口は海外でしか望めない成長に思いを馳せる。

「今のところスペイン語で覚えているのは、『hola(オラ/「やぁ!」という意味)』と『Gracias(グラシアス/「ありがとう」という意味)』のふたつだけなので、間違いなくコミュニケーションは苦労すると思います(笑)。ノリで乗り切れるくらいにならなきゃ、とは思っていますけど、本来の性格はそういうタイプでもない(笑)。

 でも、そうやって自分が心を開いて、環境に溶け込む努力をしたりして、メンタル的にも動じない自分になる必要も感じているし、慣れない環境に適応していく苦労? みたいなものも楽しめるようになりたいな、と。

 これはプレーも同じで、最初は周りも『どんなもんやねん』って感じで見てくると思うし、プロになりたての頃のように、周りの先輩選手が助けてくれるなんてこともまずないと思う。けど、そこは日々の練習から積み重ねて、試合で自分を示すということを繰り返す中で信頼をつかむしかない。

 そういうことを考えると......不安もゼロではないけど、ワクワクした気持ちのほうが大きいし、自分の決断に家族を巻き込んでいる責任もある。それをしっかり自分の肝に銘じて勝負したいと思います」

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