ブンデスのビデオ判定で大論争も、「感情論」だけの反対派はグダグダ (4ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 結局、ケルンは「申し立てが認められる可能性が低い」という理由で抗議を行なわず、ドルトムントのヴァツケCEOもケルンへの非難を撤回したことで事態は収束をみた。今回のケースでは、ルールに則さない形でゴールが認められたという点を除けば、判定自体は正しく行なわれた。つまり、そもそもビデオ判定の存在意義そのものを揺るがす出来事ではなかった。

 ビデオ判定を導入したことで、今後もピッチ上で起きる事象とルールに矛盾が起こる可能性はある。ビデオ判定に応じたルールの改正も必要だろう。しかし、これをもってビデオ判定がサッカーを台無しにしたという意見はいささか感情的すぎるのではないか。これまで試合を決定づけかねない誤審がビデオ判定によっていくつも正されてきた。その事実は無視され、今回の問題では、ビデオ判定を快く思っていない反対派が大騒ぎをしている。結局のところ、彼らは感情に支配され続けており、そこに合理的な判断はないのだ。

 例えば、この試合のドルトムントの3点目はビデオ判定によるPKで生まれたが、ケルンのDFがシュートをブロックしたのが腕だったことは、ドルトムントの選手も観客もほとんど気付いていなかった。正しい判定ではあったが、ドルトムントにとっては棚ぼたのようなPKだった。

 だが、それでもドルトムントのゴール裏に陣取るファンはなぜか「お前たちがサッカーを壊した」とビデオ判定の導入を決めたリーグへの批判を叫んでいた。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る