イブラヒモビッチ、必殺の「マイナスの折り返し」でドローに持ち込む (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文text by Sugiyama Shigeki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 そのサッカーをひと言でいえば守備的となる。布陣は中盤ダイヤモンド型の4−4−2ながら、菱型を成す両サイドハーフが高い位置を取れないので、4−3−1−2的になってしまう。もう少し言えば、守備的サッカーの典型と言われるクリスマスツリー型だ。よってクロスは、後方からの放り込みになる。

 しかし、それでなんとかいい試合になってしまうのがサッカーの恐ろしいところだ。たいした攻撃ではないのに形勢ほぼ互角。6対4以上の関係を自負するスウェーデンにとってこれはつらい状態だ。ペースを乱される大きな原因になっていた。

 アイルランドのセンタリングが初めてマイナスの角度で入ったのは後半3分。右サイドバック、シェイマス・コールマンは右サイドでボールを受けると、内へと切れ込むアクションに出た。だが、次の瞬間、進路を咄嗟に縦方向に変えた。ゴールライン付近までえぐってから、センタリングに及んだ。逆サイドで待ち受けていたのは2トップ下のウェスリー・フーラハン。ゴール右に豪快に先制点を叩き込んだ。

 しかし豪快ではあったが、シュートの難易度は決して高くなかった。イージーなシュートを豪快に見せた原因は、コールマンが送球したマイナスの折り返しにある。クリスマスツリー型の攻撃にはない、理にかなった攻め。同じセンタリングでも、プラスとマイナスで、効果にこれほどの差があるのかを示した例と言える。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る