国王杯でも敗れる!最強レアル、急ブレーキの理由 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 敗戦した公式戦2試合、いずれもレアル・マドリードはボール保持率ではライバルを凌駕していた。だが、そのサッカーは調子の良くないときのバルセロナと同じで、ボール回しをしているだけでのものであり、決して相手ゴールへ向かっていくものではなかった。ゴール前を固めるライバルを前にして、ただセーフティーにボールを回すだけで、好調時にあった危険な匂いのするプレイがクラブW杯以降、消え失せてしまっている。

 闇雲に縦パスを入れても守備を固める相手の前ではボールロストの可能性は高い。だが、今のレアル・マドリードには、どこかに「自分達はいつでも得点を奪えるぞ」といった奢りや虚勢が感じられるようなプレイが多く、リスクを冒してまでも得点を狙いにいくという気迫が感じられない。

 もちろんこの2試合ともに、勝機がなかった訳ではない。バレンシア戦ではMFイスコ、アトレティコ戦ではセルヒオ・ラモスのシュートがゴールを割っていれば、違う試合展開になっていたかもしれない。だが、勝負事に"たられば"はない。ライバルは少ないチャンスからしっかりと得点を決め、自らの手で勝利を引き寄せているのだ。

 どこか歯車がずれてしまっている現在のマドリードだが、監督、メンバーのそのタレントから言えばしっかりと修正するだけの力を備えているのは間違いない。パフォーマンスの回復を見る基準の1つとなるのは、両サイドバックが横パスのプレイに終始するのではなく、積極的なオーバーラップを仕掛けられるかどうかだろう。

 順調にいっていれば公式戦連勝記録の更新がかかっていたはずの今週末のエスパニョール戦。そして来週木曜日に行なわれるサンティアゴ・ベルナベウでの国王杯第2戦。世界王者にとっては、しっかりと勝利を収め復調をアピールしなければいけない、試練の場と形を変えた。

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