「新生」アルビレックス新潟が6年ぶりにJ1に帰ってくる。失速した昨季とは何が違ったのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

「自分たちのやりたいサッカーを研究されているのもあるし、個人としても(トップ下の)僕のところでのターンに(相手選手が)2人でくるとか、(松田)詠太郎のところだったら(ドリブル突破に対して)縦をふさぐとか、そういったことをよくしてくる相手が増えてきた」

 仙台戦で先制点を含む2ゴールを決めたMF伊藤涼太郎はそう話し、"新潟包囲網"の強化を認めながらも、堂々と言葉をつなぐ。

「でも、それを乗り越えてこそ、上のレベルでやれると思っているので。ちょっとふさがれたくらいで止められているようじゃあ、上にはいけない。それをもっともっと打開したいなと思う」

 かつてJ2では、低い位置で守備を固めて失点を減らし、ワンチャンスにかけるような現実的なサッカーが幅を利かせた時代があった。

 理想ばかりを追い求めても、J1へ昇格はできませんよ、とばかりに。

 だが、近年は自らがボールを保持し、主体的にゲームを進めるスタイルで成果を手にするチームが増えてきた。今季の新潟もまた、その最たる例と言えるだろう。

 しかも、新潟はスタイルチェンジにとり組んでから、実質3年でJ1昇格までたどりついたという点でも特筆に値する。

 新潟らしいサッカーとは――。そんな問いに対し、伊藤が誇らしげに答える。

「しっかりと自分たちでボールを保持しながら、前に進んでいくということと、サイド攻撃や中央からの崩しといった、いろんなバリエーションの攻撃を自分たちがボールを保持しながら見せられるというところが、今の新潟のサッカーだなと思う」

 2004年の初昇格から14シーズン、果敢な守備をベースに粘り強くJ1で戦っていた印象のある新潟だが、二度目の昇格となる今回は、おそらく前回とはまったく異なるインパクトを強烈に与えてくれるはずである。

 新たなスタイルを身にまとい、新潟が6シーズンぶりのJ1に帰ってきた。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る