「一番の武器はメンタル」青森山田の10番、松木玖生。Jリーグでも抜群の存在感を発揮できるか

  • 松尾祐希●文 text by Matsuo Yuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

Sportiva注目アスリート「2022年の顔」 
第8回:松木玖生(サッカー)

(第7回:森敬斗(プロ野球)「人の心を動かせる選手になりたい」>>)

スポルティーバが今年とくに注目するアスリートたち。その才能でどんな輝かしい活躍を見せてくれるのか。「2022年の顔」と題して紹介する。

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今季Jリーグ入りする松木玖生の活躍は楽しみだ今季Jリーグ入りする松木玖生の活躍は楽しみだこの記事に関連する写真を見る

【誰よりも戦える選手】

 北海道の室蘭市から青森県青森市内まで約380km。電車で行けば4時間半、車を走らせれば7時間半の距離がある。

 そんな見ず知らずの街で、中学生が親元を離れて新たな生活をスタートさせるとなれば、尋常ではないエネルギーと覚悟が必要だろう。だが、12歳の少年に迷いはなかった。

「このままではさらに成長できない。自らの意思でもっと厳しい環境を選ばないと上に行けない。覚悟を決めて青森に行く」

 12歳で人生を懸けた決断ができる者はそう多くはない。ただ、ここには同じ想いを持った選手が大勢集まってくる。日本でもっとも熾烈な争いが繰り広げられる"青森山田行き"を決めた時点で、松木玖生の道はほとんど決まっていたのかもしれない。

 中等部入学直後からトップチームでプレーし、1年生ながら全国中学校サッカー大会に出場。メキメキと頭角を現すと、2年生夏の同大会ではレギュラーだった。2-1で宮崎日大中に勝利した1回戦で目立っていたのは、当時ボランチでコンビを組んでいた1学年上の藤原優大(現・SC相模原)のほう。しかし、松木はとても下級生とは思えない負けん気の強さを見せていた。

 35度を超える劣悪な環境で水準以上のプレーを披露し、当たり負けする場面もなければ、足も最後まで止まらない。先輩たちにも容赦なく檄を飛ばすスタイルも当時から変わらず、誰よりもピッチで戦える選手だった。

「一番の武器はメンタル」。本人だけではなく、高等部の黒田剛監督も認める"ハートの強さ"は、上のカテゴリーでプレーする機会が多かった小学生の時の室蘭大沢FC時代に培われた。そして、常に激しい競争に曝される青森山田に入学したことで、その武器がさらに磨かれていく。

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