首位FC東京のお尻に火がついた。「脇役」たちが証明した川崎の強さ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 ちなみに、筆者は前節FC東京対ガンバ大阪戦後の原稿で、ナ・サンホを左利きと記述している。ともすると左利きに見えるが、実際は右利きが正解で、ここで訂正させて頂く。しかし、その左利きのように見えるウイングプレーに、右SB登里、及び右SH阿部は幻惑されなかった。2人の縦関係の連係がそれを見事に封じたことは事実だった。

 真ん中に押しやられることになったナ・サンホの姿は、川崎のプレスが効率よく掛かっている証と言えた。

 川崎の3点目のゴールはその阿部が奪った。齋藤がGKとの1対1を外したそのこぼれを、FC東京のCB森重真人から奪い、チャンスを構築して自ら決めるという、この日の川崎のサッカーを象徴するような一撃だった。

 その阿部にラストパスを送ったのは下田であり、このチャンスのそもそもの発端は齋藤のシュートだった。普段はいずれも脇役たちである。そこにFC東京との違いを見る気がした。

 ディエゴ・オリヴェイラ、永井謙佑をはじめ、登場する人物はいつも同じ。FC東京の泣きどころは、先発メンバーをそらで言えそうな点にある。つまり、層が薄い。選択肢が限られているのだ。ベンチに控えるメンバーを川崎あるいは鹿島と比較すると、大きな差が見て取れる。

 シーズン終盤に向けて、これが一番の不安材料だ。ディエゴ・オリヴェイラ、永井のどちらかがケガなどでスタメンを外れれば、10の戦力は一気に7〜8まで低下する。

 次週の清水エスパルス戦はアウェーだが、再来週からはホーム戦が3試合続く。そしてその後は前述のようにアウェー8連戦を迎える。その前までに2位以下との差をどれほど広げておくことができるか。FC東京は新たな選択肢をもう2つ、3つ見出せないと、危なそうだ。シーズン後半に向け、上位争いは混戦必至と見る。

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