小倉新監督よ、下を向くな。ベンゲル時代を想起させるグランパス (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by AFLO

 山口蛍よりプレーがいい意味で重く、遠藤航より視野が広くパスセンスが高いとは、僕の見立てである。名古屋のチームリーダーである彼が、代表チームの中心で活躍するくらいでなければ、名古屋の前途は暗いと思う。

 それ以上に気に掛かるのは、新監督の小倉が思いのほか真面目、常識人だということだ。練習試合で3連敗すると、内容が悪くなくても下を向いてしまう。敗因を「自分と相手の監督との力の差だ」と、素直に述べてしまう。図々しくないのだ。さらに言えば、現役時代に人気者だったがゆえに、他人から批判されることに慣れていない。監督として逆境に強いタイプとは言い難い。

 浮沈のカギを握る人物は、アシスタントコーチ兼スポーツダイレクターとして招かれたステンリー・ブラード氏だ。彼が裏の監督として小倉監督と、ストイコビッチとボシュコ・ジュロブスキ、フランツ・ライカールトとテン・カーテのような関係に至ることができれば、大きな間違いは起きなそうな気がする。

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