指揮官も選手も手応え。低迷セレッソ、降格圏脱出に光明 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 後半は点差がどこまで開いてしまうのか。それを考えると、少々怖くなってしまうくらい、前半の内容には両者の間に歴然たる差があった。

 だが、セレッソはこのままでは終わらなかった。ペッツァイオリ監督が語る。

「システムを(4-4-2から)3-5-2にして、ディフェンスはマンツーマン気味にした。アグレッシブに前でボールを奪えて、ゴールチャンスをたくさんつくることができた」

 システム変更によって中盤から前線に厚みが出たセレッソは、前半とは対照的に中盤で主導権を握れるようになった。前半は孤立しがちだったフォルランも周囲のサポートを得られるようになり、さらには後半開始から交代出場した吉野峻光が積極的にボールに絡み、流れを引き寄せた。

 49分に丸橋祐介、74分に藤本康太がゴールを決めて1点差。その後、川崎に1点を許したものの、85分にフォルランの芸術的なボレーシュートが決まり、再び1点差に迫った。

 結局、スコアは5-4。セレッソは1点が届かず敗れはした。それでも、現在J1最高と言ってもいい攻撃力を誇る川崎と壮絶な打ち合いを演じ、あと一歩まで迫ったことは評価できる。

 前半の内容を受けて、的確なシステム変更と選手交代によって状況を一変させた指揮官の手腕。それに応えた選手の能力。ペッツァイオリ監督は「前半は眠っていたかのようで悔やまれる」と、まずは勝ち点を取れなかったことに言及しながらも、こんな言葉で手応えを語った。

「ベースとなるのは、アグレッシブに攻め続けるオフェンシブなサッカーをすること。後半は選手がそれをシンプルにやってくれた。そのベースがあれば、どのシステムでプレイすることも可能だ」

 南野は「全体的に(戦い方の)イメージを持ってやれてない。勝てへんときはそういう部分が出る」と、勝利から遠ざかっている現状を語る。

 それでも「今日の試合、特に後半は前向きにとらえていい試合だと思う」と言い、こう続けた。

「後半はアグレッシブに攻める意識で入った。次はそれを最初からできるようにしたい」

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