宇佐美貴史「大迫くんや柿谷くんより下だと思っていない」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

 ザッケローニ監督の下、日本代表に初招集されたのは、2011年6月のキリンカップだった(0-0ペルー、0-0チェコ)。しかしそのとき出番はなく、2012年11月のW杯アジア最終予選、オマーン戦(2-1)でも再び選出されたが、その際も出場機会は得られなかった。以来、代表には呼ばれていない。

 それから、日本代表のメンバー編成は変わった。2013年7月の東アジアカップ以降は、FW柿谷曜一朗、FW大迫勇也、MF山口蛍ら、宇佐美と同じロンドン五輪(2012年)世代の選手たちが代表入り。レギュラー入りまで果たしそうな勢いである。そうした同世代の活躍を、宇佐美はどう思っているのだろう。

「特に(彼らの活躍が)刺激になっているとかはないです。大迫くんや(柿谷)曜一朗くんが代表でプレイしているのを見たけれども、自分も絶対、『(代表で)やれるやろ』って感じているし、オレは彼らよりレベルが下回っているとは思っていない。大迫くんも曜一朗も、前で(パスを)もらったらパッと前を向いて、ガッと突破とかまだ少ないじゃないですか。オレがそういうのをやれたらいいし、できると思う。ただ、それを(言葉で)言うだけじゃなく、プレイで証明しなければいけないでしょ。そのためにも、Jリーグで結果を出して(自分の力を)証明したいと思っています」

 ブラジルW杯の日本代表メンバー発表は、おそらく5月中旬。Jリーグの開幕は3月1日で、その間は2カ月程度しかない。そんな短時間で日本代表に復帰できるのか。宇佐美に勝算はあるのだろうか。

「(勝算は)あります。周囲には『次の2018年ロシア大会で』という人もいるけど、『次で行こう』とか『次に行くからいいや』なんて考えていたら、そのロシアW杯にだって出られないですよ。その分の努力しかしなくなるし。開幕が迫っているブラジルW杯にも出場するつもりで向かっていくこと、時間がない中でもその可能性にトライしていくことが、また次につながると思う。だからというわけじゃないけど、オレは全力でブラジルW杯(出場)を狙います。

 もう(Jリーグでは)開幕から点を取って、ぶっちぎりますよ。『あいつは別格やな』というか、『こいつを代表に入れたらどうなるんやろ』と言われるだけの結果を残せば、ブラジルに行けるチャンスは十分にあると思っているんで」

 宇佐美は、自信満々にそう言った。

 新しいポジションで、新しいスタイルを身につけ、強いメンタルとフィジカルを備えた宇佐美。Jリーグ開幕から結果を出せば、日本代表入りのチャンスは間違いなく巡ってくるだろう。それだけの期待感が、今の宇佐美にはある。


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