なでしこジャパンの大敗に大ショック。海外でプレーする清水梨紗と林穂之香は何を思ったか (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

 この2人には海外レベルで、その課題に取り組むことができる環境がある。だからこそここからワールドカップまでの8カ月の2人の成長はなでしこにとって大きなカギとなる。

「ここからの時間で取り組みたいのは"ボールを獲る"こと。代表がこれから3バックでいくなら、不利な状況での1対1だったり、自分がガツっといかないと打開されたり、3バックの裏を取られるシーンがすごく多いし、危険です。自分がボールを獲るか獲らないかでチームの流れも変わってくる。そこはこの2連戦で自分に足りないと自覚したところ。いい環境にいるので習得していきたいです」と、清水は明確な課題を見つけたようだ。

「とにかく真ん中でアドバンテージを取れるようにならないと! 奪い切る守備とそこから瞬時に攻撃につなげる見極める力をスーパーリーグで磨きたいです」と林はボランチに必要不可欠な判断スピードの向上を目標に掲げた。

 ウェストハムでは清水のプレッシングにすかさず林がサポートに入って、相手ボールを奪う場面も多々あり、日本人選手の得意とするサポート力がパワー展開のなかでも通用することを彼女たちは日々証明し続けている。実際にウェストハムで2人が起こせる変化は数多くあるだろう。その変化の数々が、なでしこジャパンの成長につながっていくはずだ。後編では、ウェストハムで彼女たちが目指すものをより詳しく紐解いていく。

(後編:「イングランドで日本とは違う「ファウル」のすごさを実感。」)

【著者プロフィール】早草紀子(はやくさ・のりこ)
兵庫県、神戸市出身。東京工芸短大写真技術科卒業。在学中の1993年よりJリーグ撮影を開始し、フリーランスとしてサッカー専門誌などにコラムも執筆。1996年に日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンを担当し、女子サッカー報道の先駆者として、聡明期を支えた。現在はJリーグ・大宮アルディージャのオフィシャルフォトグラファーや、2021年からは女子プロサッカーのWEリーグのサイトにて選手インタビューを担当している。著書に『あすなろなでしこ』『なでしこの教え』『紡 なでしこジャパンが織りなす21の物語』(以上、武田ランダムハウスジャパン)、『がけっぷち上等!』(集英社)など。

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