伊東純也のプレーを風間八宏が分析。スピードは「無敵」。精度が上がったクロスは「敵がいない場所に供給できている」

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

風間八宏のサッカー深堀りSTYLE

第5回:伊東純也(ゲンク/日本)

独自の技術論で、サッカー界に大きな影響を与えている風間八宏氏が、国内外のトップクラスの選手のテクニック、戦術を深く解説。第5回は、カタールW杯のアジア最終予選で大活躍だった伊東純也のプレーをチェック。得意のスピードドリブルとクロスについて、どこが優れているのかを分析してもらった。

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無敵のスピード

 森保ジャパンが予想以上の大苦戦を強いられた、カタールW杯アジア最終予選。その窮地を救い、日本の予選突破に大きく貢献したのが、2019年からベルギーリーグのゲンクでプレーする伊東純也だった。

 とりわけ最終予選第5節のベトナム戦(アウェー)で決勝ゴールを決めると、続くオマーン戦(アウェー)でも試合終了間際の81分に再び決勝ゴールをマーク。その後の2試合でも続けてゴールを決めた日本の右ウイングは、4試合連続ゴールを記録して救世主となった。

圧倒的なスピードを武器に、日本代表を引っ張る活躍をしている伊東純也圧倒的なスピードを武器に、日本代表を引っ張る活躍をしている伊東純也この記事に関連する写真を見る 言うまでもなく、そんな伊東の最大の武器は、傑出したスピードだ。たとえば、最終予選第8節のサウジアラビア戦(ホーム)では、酒井宏樹の縦パスに対し、対峙する相手DFを圧倒的スピードによって突破。南野拓実の先制ゴールをアシストしている。

 その速さについて、風間八宏氏も舌を巻く。

「とにかく、速い。競走させたら、ほとんど無敵だと思います。とくに10メートルくらいのスペースがあれば、それだけで違いを生み出せてしまう選手ですね。

 だから、ドルブル突破する時に、体からボールを離すことができる。以前紹介した久保建英や三笘薫も速い選手ですけど、彼らはドリブルする時にボールを体から離しません。おそらく、日本人選手でこれだけボールを離せる選手は、伊東のほかにいないでしょう。状況によっては、20メートルくらいボールを出して突破するシーンもあるくらいですから。

 もうひとつの特長は、ドリブルでボールを叩く(出す)時にまったく体が止まらないことです。結局、ドリブルが速い選手は、ボールと一緒に体がついてくるからスピードが落ちないわけです。その技術が伴ってなければ、せっかくのスピードも宝の持ち腐れになってしまいますからね」

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