サッカー日本代表、三笘薫ら五輪世代が躍動。W杯8強へは豪州戦で「5」からの増加がカギ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 前日以前からの天気予報は見事的中。シドニーは朝から雨模様だった。

 降ったり、止んだり。時に雨足が強まることはあっても、黒い雲が垂れ込めた空は、完全に止む気配を見せなかった。

 試合会場となったスタジアム・オーストラリアは、ラグビーとの併用もあってか、長めの芝がところどころ荒れていた。そこに雨が重なれば、思わぬ"事故"も起きかねない。良好とは言い難いピッチコンディションは、決して日本向きではなかったはずだ。

 だが、そんな不安は、幸いにも杞憂に終わった。

 ワールドカップ最終予選で日本はオーストラリアを2−0と下し、今年11月に開幕する本大会出場を決めた。日本の本大会出場は、これで7大会連続である。

 試合は両チーム無得点のまま進み、日本の本大会出場決定も次戦に持ち越しかと思われた89分、値千金の決勝ゴールを奪ったのは、途中出場のMF三笘薫だ。

 右サイドをDF山根視来とMF守田英正の連係で崩すと、最後は山根のクロスをゴール前に走り込んだ三笘がワンタッチで仕留めた。

「最初から(先発で)出ていた選手がああいう状況を作ってくれた」

 殊勲者本人はいたって謙虚に話していたが、出場わずか10分足らずで一番オイシイところをかっさらっていった格好だ。

 MF田中碧曰く、「自分がゴールを決めて主人公になろうと思っていたが、(三笘に)持っていかれた」。そのうえ、三笘らしい急加速のドリブル突破から2点目まで決められてしまっては、誰もが脱帽するしかないだろう。

 またしても、ヒーローは「直近の五輪世代」だった。

 過去のアジア最終予選を振り返ると、ワールドカップ出場を決めた試合で、不思議と「直近の五輪世代」が決勝ゴールを決めるケースが目立つ。

 2010年大会最終予選では、2008年北京五輪に出場したFW岡崎慎司。2018年最終予選では、2016年リオ五輪に出場したFW浅野拓磨。そして今回は、2021年東京五輪に出場した三笘である。

 やはり若い世代が台頭してこそ、チームとしての力が底上げされ、結果として勝利にも近づく。その事実を、それぞれの時代の五輪世代が証明しているのだろう。

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