日本代表は外国人監督の招聘を視野に入れないのか。これだけいるフリーの有力候補者たち

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by L'EQUIPE/AFLO

「毎月毎月試合があり、準備期間がないなかで監督を代えるのは本当に難しい。統計的に見て、監督を代えてよくなるケースは必ずしも多いわけではないし、リスクも考えなければいけない」

 日本代表がW杯予選突破に黄色信号が灯った状況で挑んだホームでのオーストラリア戦に勝利した翌日、JFA(日本サッカー協会)の田嶋幸三会長は、そう語って森保監督の続投を明言した。

 監督を"代えるリスク"と、"代えないリスク"。

 確かに、11月の2試合にも勝利した日本は、W杯本大会自動出場圏内のグループ2位に浮上したのだから、現段階において田嶋会長の言う"代えるリスク"を回避したことにはなる。しかしその一方で、まだ一歩間違えば3位に転落する可能性が残されていることも事実で、11月の2試合の中身を見る限り、残念ながらとてもカタール行きを楽観できる状況にはないという現実もある。

 それを考えれば、たとえグループ2位まで挽回したとしても、あるいは無事に本大会出場を決めたとしても、もうひとつのリスク、つまり監督を"代えないリスク"についても、継続して考え続ける必要はあるだろう。

たびたび日本への関心について発言しているアンドレ・ビラス・ボアス元マルセイユ監督たびたび日本への関心について発言しているアンドレ・ビラス・ボアス元マルセイユ監督この記事に関連する写真を見る 森保監督解任が取りざたされたオーストラリア戦の前、各メディアが後任候補として挙げていたのがFC東京の長谷川健太監督(当時)だった。仮に監督を代えるとしても、11月の2試合までには時間がないため、日本人監督のなかで選ぶというのが大筋。場合によっては、横内昭展コーチを暫定監督に立てて、アウェーでのオマーン戦のあとから本格的に新監督の招聘に動く、という見方もあった。

 ただ、次期監督候補のなかに日本人以外の監督がいないのは、あまりにも選択の幅が狭すぎるだろう。そもそも日本が掲げる目標は、W杯出場ではなく、W杯本大会ベスト8以上の成績だったはず。そこを基準にすれば、視線を海外にも向けなければならない。

 デジタル社会となったいま、世界中の監督の情報はすぐにでも入手できる。また、その人物の代理人にコンタクトをとることも、以前とは比べものにならないほど容易になった。つまり、お目当ての監督と契約したいという意思さえあれば、時間がないなかでも外国人監督を招聘することは決して不可能ではない時代になったのである。

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