森保ジャパンが好機をつくれない理由。左サイドはメスを入れる必要がある

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

カタールW杯アジア最終予選特集

 ベトナム対日本戦の前に試合が終わったオーストラリア対サウジアラビアの結果は0-0だった。この時点で勝ち点6、4位の日本が、もしベトナム戦で勝ち点を落とせば、サウジアラビア(勝ち点13)=1位、オーストラリア(勝ち点10)=2位との差は詰まらない。プレーオフ進出を懸けたオマーンとの争いでも後手を踏むことになる。そうした事態に陥れば、森保一監督解任の可能性は一気に高まる。

 0-1。日本は結局、ベトナムに勝利した。前半17分、左から南野拓実が折り返したボールを、俊足の伊東純也が押し込み、これを決勝点にした。この直後に行なわれた中国対オマーンが引き分け(1-1)に終わったため、勝ち点を9とした日本は、オマーン(勝ち点7)をかわし、プレーオフ進出圏内である3位に浮上することになった。

ベトナム戦の前半17分、先制ゴールをあげた伊東純也ベトナム戦の前半17分、先制ゴールをあげた伊東純也この記事に関連する写真を見る よかった。森保監督の首もつながった。胸をなで下ろす結果となったが、この組(B組)最弱のベトナムを相手に対し、最少得点差の勝利に終わった現実を、W杯本大会でベスト8入りを狙う日本が歓喜してはいけない。なぜ0-1だったのか。薄氷を踏む勝利とは言わないが、スコア的になぜ大苦戦したのか。これ以上弱い相手はグループ内に存在しない。5日後の16日(現地時間)には、絶対に負けられないオマーンとのアウェー戦が迫っている。思うように攻撃ができない原因について、大真面目に振り返り、策を練る必要がある。

 ベトナムに攻め込まれる機会は少なかった。GKやDFが大きなミスを犯さなければ、あるいはベトナムのラッキーパンチが当たらなければ、失点の心配はなさそうだった。苦戦、辛勝の原因がどこにあるかはハッキリしている。

 日本が決定的なチャンスを外しまくった末の0-1なら話は別だ。山ほどチャンスを築いたのに、相手GKが好セーブを連発。当たりに当たったのならともかく、日本にチャンスは数えるほどしかなかった。惜しいシーンはそれなりにあったが、3点、4点入っていても不思議な試合ではまったくなかった。問題の根はここに潜んでいる。

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