酒井高徳が語るアジア杯。「代表への気持ちが変わった」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 さらに今季の前半戦は、監督交代と強化部長の解任も経験している。酒井自身、主に左サイドバックとしてプレイしながら、チーム事情によって右でも使われ、監督交代直後はスタメンから外れるという苦しみを経験している。そんな苦境を打開するのは日ごろの努力しかない。そんな日々が酒井にある種の図太さをもたらしているような気がした。

 1月12日のパレスチナ戦、酒井高徳は4年越しのアジアカップ出場を実現した。2011年の前回大会は、代表に招集されて現地入りしながら、体調不良で帰国を余儀なくされた。試合はテレビで観戦、優勝も遠く日本で見つめた。そして決意を固くした。

「次こそピッチで同じ思いを味わいたい」

 その第一歩を、パレスチナ戦フル出場という形で踏み出したわけだ。欧州で活躍し、ブラジルW杯のメンバーにも選ばれ、キャリアは積み重ねて来たが、このアジアカップに対して、彼には彼なりの思いがあるのだ。

 4-0で勝利を収めたものの、パレスチナはかなりの格下。試合後、ほとんどの選手が「勝利したことだけが収穫」と、内容への不満を口にした。酒井もイラク戦を前に、警戒をおこたらない。

「僕個人としては初めて出る大会で、初戦の大事さなどいろいろなことを考えてやったので、少し硬かったところがありました。試合が終わった後にみんなと話してみると、このパレスチナ戦と同じ感じでイラク戦にいったら、絶対やられてしまうという雰囲気を全員が持っていた。だから、違うものだと思ってギアを入れていかなきゃいけないと思ってますし、それは練習から始まっています。パレスチナ戦の続きということではなく、次はイラクだという感じで集中できていると思います」

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