【五輪代表】最大のヤマ場。シリア戦の勝負のカギと不安要素 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 赤木真二●撮影 photo by Akagi Shinji

 それは、この試合が、国内組の選手にとってはシーズン初戦、しかもオフ明けから短い準備期間で臨まなければならない試合だということ。それこそが、この試合最大の不安要素だと言ってもいい。

 過去、A代表のワールドカップ予選などを見ても、1、2月に行なわれる試合は総じて内容がよくない。オフが明けたばかりのこの時期は、コンディションや試合勘という点において、まだまだ選手たちがピークには程遠いからだ。

 酒井宏樹が「この試合があることは、みんな分かっていたので、昨シーズンが終わってからも各々体を動かしていた」と話すように、当然、選手たちは対策を講じてきた。

 また、チームとしても、1月中旬にグアムキャンプを実施。山田は「グアムで厳しいキャンプをやって、コンディション的には、みんな相当上がってきている」と語る。

 しかし、コンディションについては「気にしていない」と話す山田も、「90分という時間での試合勘は、どうなのかなっていうのは感じている」。

 なかには約2カ月間、公式戦から遠ざかっている選手もいる。直前のドーハキャンプでは、2試合の練習試合(対カタール、対イラク)も組まれた。それでも「トレーニングマッチと公式戦では違う」というのが、山田の本音だ。

 山田曰く、「僕らも、できるだけ公式戦に近い形で練習試合をやった」。また、酒井曰く、「(連携で)多少のズレはあったが、みんなでずっと練習を重ねてきて、だいぶ合うようになってきた」。ともに努めて前向きな発言をしながらも、だがしかし、奇しくもふたり揃って同じ言葉を口にした。

「あとは、やってみないと分からない」

 もちろん、この言葉を無責任だなどと言うつもりはない。異国の地で重要なシーズン初戦に臨む心境としては、偽らざるところだろう。

 ロンドン行きの成否をかけた大一番。日本にとって、「敵は己にあり」の試合となることは間違いない。

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