日本シリーズの勝者は阪神かオリックスか 運命の第7戦のポイントを前田幸長が解説 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva

 この日のピッチングは、とくに中盤以降どの球種でもカウントを稼げて、勝負球にもなった。ストレートはキャッチャーの構えたところにほぼきていましたし、フォークもしっかり低めに集めることができた。早いカウントで追い込めたことで、阪神打線に的を絞らせなかった。それが日本シリーズ新記録となる14奪三振につながったのだと思います。3年連続沢村賞の実力をまざまざと見せつけてくれましたね。

【第7戦のカギはベンチワーク】

 一方、前回の投球でオリックス打線を7回無失点に抑えた村上投手ですが、この日はボールから入ることが多く、カウントを整えるのに苦労していた印象です。しかもフォークの落ちも悪く、そこをうまくとらえられた。5回に紅林選手に打たれた2ランもフォークでした。

 オリックスはスタメンに杉本裕太郎選手、頓宮裕真選手、レアンドロ・セデーニョ選手など、一発のある打者を並べました。そのことによって「いいコースに投げないといけない」と、村上投手のピッチングを慎重にさせたのかもしれません。前回に比べて、大胆さがなかったですし、ボール1個分、半個分の出し入れができませんでした。

 オリックスが快勝して、これで対戦成績は3勝3敗のタイとなりました。第1戦で抑えられた村上投手を攻略し、山本投手も完投するなど、オリックスにとっては最高の勝ち方で逆王手をかけました、これで優位になったかと言えば、決してそうではない。私はまったくの五分五分だと思います。

 山本投手が完投し、リリーフ陣を温存できたという見方もありますが、中嶋聡監督にしてみれば「継投するのが怖かった」というのが本音だと思います。宇田川優希投手は疲労の心配がありますし、山?颯一郎投手、平野佳寿投手も万全とは言い難い。昨年の日本シリーズのように、リリーフで逃げ切ることは簡単ではありません。ですので、第7戦はリリーフ勝負には持ち込みたくないはずです。

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