篠塚和典のセ・リーグ順位予想 阪神との開幕3連戦で、巨人は「戦える」手ごたえを得られたか (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【5位予想:ヤクルト】

――ヤクルトは昨季と同じ5位に予想されました。

篠塚 昨季、戦列を離れることが多かった塩見泰隆が、シーズンを通じて出られるのか。彼は打線に勢いをもたらす意味で重要な存在です。あとは、4番の村上宗隆が昨季 以上の成績を残せるかも大事ですが、復調が期待された山田哲人が離脱したのは痛いですね。

 ただ、(ホセ・)オスナや(ドミンゴ・)サンタナも健在ですし、西川遥輝も加入しました。課題は先発ですが、リーグ優勝した2021年、22年もふた桁勝利を挙げたピッチャーはいなかったんですよね。だから以前のように打線が打てるかが、ヤクルトが浮上するためのカギになると思います。

 とはいえ、やはり安定してふた桁勝てる先発ピッチャーは必要です。石川雅規という模範になる大ベテランがいながら、エース候補として期待されている奥川恭伸らが戦力になれていません。奥川をはじめとした若手が先発ローテーションに入ってこないと、今後も厳しいでしょうね。

【6位予想:中日】

――6位は、3季連続で中日になるとの予想ですね。

篠塚 課題が打線であることは明白で、中田翔や中島宏之らの加入は確かにプラスですが、打線がそう大きく変わることはないと思うんです。巨人にも言えることなのですが、野手に安定感がありません。安定感というのは、2、3年と継続して成績を残せる「レギュラー」と言える選手がいて出てくるものですが、なかなかそういう選手が育ってきません。

 数年前まではよかった高橋周平は、本来であれば主力でいなければいけないし、若手だと岡林勇希あたりが打線を引っ張っていかないといけません。細川成也、石川昂弥、石垣雅海、鵜飼航丞、ブライト健太らも、中田の加入がいい刺激になればいいですね。

 ピッチャー陣は先発もリリーフも充実していると思いますが、やっぱり打てないと勝てません。得点圏で、中田を中心とした中軸がいかに打てるかでしょうね。

【プロフィール】

◆篠塚和典(しのづか・かずのり)

1957年7月16日、東京都豊島区生まれ、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と一軍打撃コーチ、一軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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