ヤクルト清水昇が松坂大輔、藤川球児、古田敦也を質問攻めに。金言を胸に挑むNPB史上初の快挙 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

「前半戦は調子の良し悪しがはっきりしていたのですが、初勝利したことで気持ちがラクになった部分はあります。本当に抑えることだけに集中して、記録を意識したことはなかったです。でも、数字は気にしていました。一昨年は(最優秀中継ぎの)タイトルを3人で分けあった(中日ドラゴンズの祖父江大輔、福敬登)ので、去年はひとりで獲りたいなと。自分にとってはそういう気持ちがプラスに働いたかなという気がします」

 シーズン終盤は「ゴールが見えてきました!」「あと少しです!」と自らを奮い立たせ、クラブハウスから練習に向かう清水を何度も見た。10月5日から巨人、阪神との6連戦(神宮)では4連投を含めて5試合に登板。清水は5ホールドを挙げる圧巻の投球で、リーグ優勝を一気に近づけた。

「あの天王山では投げるのが楽しいとまでは言わないですけど、4連投の時にはキャッチャーのサインどおりに投げているというよりも、自分が思った球をしっかり投げることができた。しかも自分にとっては、登板数など未知の領域で結果が出せたので、大きな自信になりました」

 清水は2年連続して球史に名を刻んだ。一昨年は0勝でタイトル獲得というNPB史上初の快挙を達成。昨年は浅尾拓也(中日)が持っていた年間最多ホールド記録(47ホールド)を更新。そして今年、3年連続最優秀中継ぎ投手のタイトルを手にすれば、これも史上初になる。

「3年連続は目指したいと思っています。意識しないと言いつつも、ちょっとは意識している感じはあります(笑)。古田さんからも『3年連続で獲れるチャンスがあるのはおまえしかいないんだから、狙ってもいいんじゃないか』と背中を押してもらいました」

クローザーにも興味

 今シーズンの抱負について話をするなかで、「クローザーのポジションも獲りたい」という言葉を口にした。

「昨年、1セーブを挙げさせてもらった時に、8回と9回とではこれほど気持ちの上がりかたが違うのかと......その時にクローザーを目指したいなと。だからこそ、石山(泰稚)さん、スコット(マクガフ)は仲間であり、自分にとってプラスになる競争相手だと思っています。でも、この2年でやっと確立できたセットアッパーの役割も魅力的ですし、自分を成長させてくれるポジションならどこでもいいです」

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