ラミレスの日本シリーズ予想「オリックスの4勝1敗」は外れ。「中嶋聡監督にちょっとした采配ミスがあった」

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

アレックス・ラミレス インタビュー
日本シリーズ総括 前編

【戦前は「オリックスの4勝1敗」と予想していた】

――2021年日本シリーズは接戦の末に、高津臣吾監督率いる東京ヤクルトスワローズが20年ぶりの日本一に輝きました。今回と次回、ラミレスさんには全6戦にわたる激闘を振り返っていただきたいと思います。

ラミレス シリーズ開幕前、僕は「オリックスの4勝1敗」という予想をしました。でも、内心では「オリックスの4連勝もあり得るな」とも思っていました。その根拠となったのはデータです。ヤクルトもオリックスも、ともに前年度最下位からのリーグ優勝だし、クライマックスシリーズも、「○○△」の2勝1分で日本シリーズ進出を決めたということで、よく似たチームではあったけれど、データで見れば、「オリックスのほうが有利だろうな」と思っていました。クライマックスシリーズ(CS)でも、ヤクルトのシリーズ進出は予想していませんでした。

日本シリーズ第1戦で選手たちにグータッチするオリックスの中嶋監督日本シリーズ第1戦で選手たちにグータッチするオリックスの中嶋監督この記事に関連する写真を見る――CSではどのような予想だったのですか?

ラミレス ジャイアンツとタイガースに関しては僕の予想通り「ジャイアンツの勝利」でした。ファイナルステージについては、アドバンテージの1勝を含めてもジャイアンツの4勝2敗の予想でした。でも、ヤクルトの勢いと実力は、私の想像以上でした。

――では、あらためて「オリックス有利」の根拠を教えてください。

ラミレス まずは投手陣を比較してみると、オリックスには山本由伸、宮城大弥というリーグ1位、2位のピッチャーが控えている点です。防御率は1位の山本が1.39、2位の宮城が2.51で、勝利数では1位山本が18勝、2位宮城が13勝。短期決戦において、信頼できるリーグのトップ2がいるというのは大きなアドバンテージです。一方のヤクルトは奥川恭伸、高橋奎二という伸び盛りの若手がいるけれども、未知数の部分もあります。打撃陣に関しても「オリックスのほうが少し上だな」と思っていましたね。

――結果的にはヤクルトが4勝2敗で日本一に輝きました。ラミレスさんの予想が外れてしまった要因は何だと思いますか?

ラミレス 両監督の采配の差が大きく結果に出たのかなという気がします。ヤクルト・高津監督の采配は完璧だった一方、オリックス・中嶋聡監督にはちょっとした采配ミスがあったように私には見えました。ヤクルトは、そのミスを逃さなかったのが日本一に繋がったのだと思います。

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