DeNAの最重要課題は投手陣の立て直し。ドラフトは法政大の左右両腕にセンバツ優勝投手が候補か

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略2021〜DeNA編

 ここまで(9月24日現在)チーム打率.257(リーグ2位タイ)、チーム本塁打120本(リーグ2位)とリーグ屈指の攻撃力を誇るDeNAだが、順位は5位と苦戦を強いられている。その最大の要因は、12球団ワーストの防御率4.22の投手陣にある。

 かつて「左腕王国」と評され相手チームに恐れられたが、ケガ人が続出し、効力を発揮できずにいる。ようやく今永昇太が戦列に復帰し、石田健大もイースタンリーグで三振の山を築くなど、明るい材料が増えてきた。

 また、絶対的守護神としてチームを支えてきた山﨑康晃が、昨シーズンあたりから長年の勤続疲労の影響もあって本来のピッチングを取り戻せずにいるが、とりあえず今は心身ともリフレッシュすることが最優先だろう。

最速151キロを誇る法政大の山下輝最速151キロを誇る法政大の山下輝この記事に関連する写真を見る 一昨年は桐蔭学園の森敬斗、昨年は明治大の入江大生を単独1位指名するなど、独自のドラフト戦略を展開してきたDeNA。今年も誰を1位で指名するのか楽しみだが、チームの現状を見れば、やはり「投手」だろう。

 即戦力なら、法政大の山下輝(投手/左投左打)が面白い。木更津総合高校の時も、もしプロ志望届を出していれば上位指名もあったかもしれない大器が、昨シーズンから満を持してリーグ戦に登場した。

 身長188センチの長身投手だが、ボディバランスが抜群で、いい意味で力感がない。それでいて常時145キロ台中盤のストレートが投げられて、スライダー、フォームの精度も一段と上がっている。

 スカウトたちが気にしているのは、1年を通して結果を出したという経験がないこと。とはいえ、まだまだ伸びしろはありそうだし、これから本格化していきそうな気がしている。

 リリーフ強化ということなら、同じく法政大の三浦銀二(投手/右投右打)が候補に上がる。山﨑のシンカーのように、わかっていてもとらえられない魔球級の球はないが、スライダー、カーブ、チェンジアップ、スプリットと、どれもハイレベル。

 なにより、三浦には投手としてのセンスと向上心があり、この多彩な変化球からいずれは「伝家の宝刀」と呼ばれるような必殺球が生まれる可能性はある。驚くようなスピードはないが、キレのいいボールを両サイドにきっちり投げ分け、少ない球数で相手打者を追い込み、変化球で打ちとる。そうした計算ができる投手で、こういう選手がリリーフにいると心強い。

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