ヤクルト山崎晃大朗に「二軍に落ちるぞ」。
石井琢朗が2年前に伝えたこと

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

◆ヤクルトの勝利の女神・神宮球場を彩る美人チアリーダーたち>>

 先週、神宮での阪神戦の試合前、ヤクルトの山崎晃大朗の打撃練習を見ていて、以前、解説者の真中満氏に話を聞いた時の言葉を思い出した。

「僕もそうでしたが、誰もが一軍と二軍を行ったり来たりしながら、プロ野球選手として"一人前"になっていくものなんです」

 打撃ケージの中では、山崎が逆方向を中心に、打球を広角に打ち分けていた。がむしゃらにバットを振っていた昨年までと比べると、一つひとつの動きに落ち着きがあり、「もう若手選手ではないのだな......」という雰囲気が漂っている。

開幕から好調を続けているヤクルト・山崎晃大朗開幕から好調を続けているヤクルト・山崎晃大朗 山崎は日大時代、俊足好打の外野手として2015年のドラフトでヤクルトから5位指名を受けて入団した。ちなみに、当時の監督は真中氏だった。

 2016年のプロ1年目の春季キャンプ、いきなり一軍キャンプに抜擢された山崎は、杉村繁チーフ打撃コーチの練習内容の説明に「はい」と返事すること64回。新人らしさにあふれ、初めてのプロのキャンプについてこんな感想を述べていた。

「全体練習があって、そこから個別練習があり、とにかく内容の濃さに驚いています。体は第2クールから結構重くなっていくと思いますが、まだまだくたばるような年齢じゃないので、若さで持ちこたえたいです」

 そう話すと「久しぶりにマメができました」と、手のひらを見せたのだった。

 開幕後は二軍生活が続き、7月には一軍の試合前練習を見学する機会に恵まれ、目標とする川端慎吾に質問することもできた。

「川端さんの、追い込まれてからファウルにする技術はプロ入り前から興味があって、それについて聞くことができました。二軍の試合で試したんですけど、できませんでした(苦笑)。でも、待ち方や考え方を聞けたことはよかったです。

 正直、ここまで一軍は忘れていたのですが、練習を見学させていただいたことで『もっとやらなければダメだ』という意識が強くなりました。打撃練習でミスショットがあるようでは一軍には上がれない......」

 この年の7月31日の巨人戦で一軍デビューを果たし、8月5日の阪神戦で藤浪晋太郎からプロ初安打を記録した。

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