ロッテ・西野勇士、試練を乗り越えパ・リーグ初の育成から新人王なるか? (2ページ目)
斉藤コーチは、7勝を挙げている要因を次のように分析する。
「ストレート、カーブ、スライダー、フォークと、どの球種でもストライクが取れる。それに、打者に向かっていく気持ちが強い。13試合も投げれば怖さを感じるものだけど、それを見せずに、マイペースで投げている」
プロの先発投手には、最低でも4つの球種が必要と言われている。
西野の場合も、イースタン・リーグでもまれる間に、高校時代から投げていたフォークボールを直球と同じように腕を振って投げるようにしたこと、カーブに磨きをかけたことで、ストレート、カーブ、スライダー、フォークの4つの球種が試合で使えるレベルになった。
4つの球種それぞれが一軍で通用するレベルにあるということは、対戦する打者も証言している。
西野の先発が予告された7月6日、対戦を前に西武の栗山巧、秋山翔吾が西野の投球についてこう語った。
「真っすぐ、フォーク、スライダー、カーブ。全部いいですね。コントロールもいいし、ボールにキレもある。投げっぷりがいいし、フォークの精度が高い。空振りを取るフォークと、ゴロを打たせるフォークがあります。そのあたりの質が高いピッチャーという気がします」(栗山)
「どの球種も丁寧に投げてくる。コントロールがいいです。勝ち星もそうですけど、負けていないのは得点圏で打たせてくれないから。ここ一番でのフォーク、真っすぐは簡単には打てません。カーブもスライダーもそれぞれいい。そういうボールをバランス良く投げてくるので、どれも頭に入れておかないといけません」(秋山)
だが、その7月6日の試合では、西野本来の投球が見られなかった。最速147キロの直球は常時130キロ後半で、勢いがない。変化球も甘くなり、毎回のように走者を背負う苦しい投球となった。結局、6回1/3を投げて被安打9で、奪三振は1個のみ。自己ワーストの5失点で3敗目を喫してしまった。
この投球内容に、伊東勤監督の表情は険しかった。
「連打されるということは、配球が甘いということ。完全に見切られていた。先制したあとすぐ先頭に四球を出すなど、細かいところが欠けている。序盤は悪いなりに抑えていたけど、粘り切れなかったね。前回の登板(6月29日の福岡ソフトバンク戦で8回1失点ながら、被安打9。勝ち負けはつかず)も内容はよくなかったし、『そろそろ危ないな』という兆候はあった。これからは研究され、相手もそう簡単に勝たせてくれないだろうから、その上をいかないと」
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