【プロ野球】吉井理人が語る「投手・大谷翔平にいま必要なこと」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 この場合、軽めのトレーニング日(登板前日以外の2日目と4日目)に野手として試合に出ることは可能だと思います。ただ、野手をメインに考える場合、いつブルペンに入り、球数をどうするのかは、正直、想像がつきません。バッティング練習だってしなければいけないわけですから。

 いずれにしても「二刀流」を実現するためには、投手として一軍レベルに持っていかないといけないような気がします。そして、そのためにはまず二軍でローテーションを守ることが最も近道だと思います。

 あくまでも私の持論ですが、高卒投手は二軍の先発として最低でも60~80イニングを投げる。それだけのイニングを投げることができれば、スタミナがつくし、ピッチングも覚えられる。それに試合のリズムも身につけていくし、登板と登板の間のリズムもわかってくる。これまで多くの高卒投手を見てきましたが、すべてが完成した選手なんてまずいない。ただボールを一生懸命投げているだけで、ピッチングの組み立てまでは考えていない。大谷選手を見ても、まだそこまでの余裕はない。今はキャッチャーのリード通りに投げている感じです。

 ただ、振ってこないとわかるバッターには簡単にストライクを取りにいくなど、ピッチャーとしてのセンスはすごく感じます。これでピッチングを覚えていけば、どんなピッチャーになるのだろうかという楽しみはありますね。

 また、「二刀流」に挑戦しているからこそ、経験できることもあります。パ・リーグの投手は、交流戦を除き、基本的に打席には入りません。でも大谷選手は打席に入って、一流の投手と対戦できる。私もセ・リーグや(MLBの)ナショナル・リーグで打席に立つことがありましたが、例えば、こういう配球は打ちづらいとか、このコースは手が出ないとか、打者目線の考えができるようになったんです。それからピッチングの幅が格段に広くなりました。そういったことも含め、投手・大谷翔平の可能性は無限に広がっているような気がします。

 何度も言いますが、とにかく今は実戦経験を積んで、いい時の感覚を取り戻すこと。それさえクリアできれば、一軍でローテーション投手になることも、160キロを投げることも十分に実現できると思います。

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