それでも日本復帰はないのか。3A最多勝・村田透「31歳の苦悩」

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by AP/AFLO

 昨年6月29日、日本人として53人目のメジャーリーガーとなった村田透。メジャーでの登板は、デビュー戦の先発だけに終わった(結果は敗戦投手)が、渡米5年目にして定着した3A ではシーズンを通してローテーションを守り、15勝で最多勝に輝いた。

昨年、3Aで15勝を挙げ最多勝に輝いた村田透昨年、3Aで15勝を挙げ最多勝に輝いた村田透 オフには日本球界入りもささやかれたが、村田は野球界の最高峰であるメジャーに挑戦するという"茨の道"をあえて選び、クリーブランド・インディアンズとの契約最終年となる6年目の今シーズンをマイナーで迎えた。

 毎年、大量のプロスペクト(有望株)が全米はおろか全世界から集まってくるアメリカ球界。マイナー最高峰3Aでの最多勝も、シーズンが変われば何の価値もなくなってしまう。今シーズン、村田に与えられた仕事場は、慣れないブルペンだった。

「自分の持ち味を発揮できるのは、この場所しかない」

 昨年、あれだけこだわっていた先発だったが、チーム事情がそれを許さなかった。

「先発型の投手が(3Aに)多かったので、ある程度、予想はしていました。実際、オフにもそういう話が出ていましたし......。それにブルペンはブルペンで、また新しい発見があるかもしれないですから」

 プルペンに転向したことに対して村田は「特に何もない」と言うが、自分の適性を考えれば、メジャーに上がるには「やはり先発がいちばん」と言っていたポジションから外された意味は、自分自身がいちばん理解している。

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