山田哲人、豪打の原点は「少林寺日本一のDNA」と「超高速ハイハイ」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ダイヤモンドをゆったりと回る姿には、ホームランアーチストの風格さえ漂っていた。

「えらい貫禄ついたな」

 テレビに映る教え子の活躍を見ていたのは、履正社高校の岡田龍生監督だ。5月20日のDeNA戦、山田哲人(ヤクルト)が8回に放ったその日2本目の一発は、ビシエド(中日)を抜き、セ・リーグ本塁打王争いのトップに立つ14号だった。岡田監督はヒーローインタビューを見終えると、久しぶりに山田にメールを入れた。

昨年に続き、2年連続の本塁打王を狙う山田哲人昨年に続き、2年連続の本塁打王を狙う山田哲人

「今年は、昨年以上に打球が飛んでいる感じがあるので、そんなことも少し書きました。そうしたらすぐに返信が来て、本人もそんな風に思っているみたいでした。それにしても、久しぶりに試合を見ましたけど、よう打ちますね。こんなにホームランを打つバッターになるとは......」

 山田の活躍を見るたび、岡田監督の頭には高校時代から際立っていたスイングスピードのことが浮かんでくるという。3年時には、5年先輩のT-岡田(オリックス)の数値を上回る154キロを記録。体はいまよりずっと華奢だったが、「ブンッ」と音の詰まったスイングは鋭く、力強かった。岡田監督が当時を振り返る。

「スイングスピードは別格でした。なにより機器での測定は、測定点をバットがしっかり通らないと高い数値が出ません。山田のスイングは、捉える精度という点でもレベルが高かったのでしょう」

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