センバツで発見。プロに育つ可能性を秘めた3人の「遊撃手」

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 最近のプロ野球を見て、「遊撃手」のスターが少なくなったような気がしている。ざっと見渡して、総合力で鳥谷敬(阪神)と坂本勇人(巨人)、フィールディングで今宮健太(ソフトバンク)や中島卓也(日本ハム)といったところだろうか。

「遊撃手」といえば、花形のポジションだ。以前は、各チームに不動のレギュラー遊撃手が君臨し、それがそのまま「プロ野球を代表する遊撃手」として眩(まばゆ)いばかりの存在感を放っていた。

攻守で存在感を発揮した敦賀気比の林中勇輝攻守で存在感を発揮した敦賀気比の林中勇輝

 吉田義男(阪神)や広岡達朗(巨人)の時代まで遡(さかのぼ)るまでもなく、セ・リーグには高橋慶彦(広島)、河埜和正(巨人)、山下大輔(大洋)、池山隆寛(ヤクルト)石井琢朗(横浜)、野村謙二郎(広島)、井端弘和(中日)らがおり、パ・リーグにも、石毛宏典(西武)、松井稼頭央(西武/現・楽天)、川﨑宗則(ソフトバンク/現・カブス)に金子誠(日本ハム)、中島宏之(西武/現・オリックス)たちがいた。

「主役不在」と言われたこの春のセンバツだったが、いざ始まってみれば将来を嘱望される選手たちがゴロゴロいるではないか。なかでも、将来プロ野球で「遊撃手」として立派に育ちそうな3人の選手に目が釘付けになった。

 まず、東海大甲府の福武修(180センチ74キロ/右投左打)。初戦で創志学園(岡山)に敗れてしまったが、大舞台の第1打席でエンドランをひと振りで決める図太い勝負度胸と、たしかなバッティング技術がある。ただ、その後の打席は創志学園のエース・高田萌生(たかだ・ほうせい)の速球にインパクトで負けているように見えた。さらに変化球も、スライダー、カットボール、チェンジアップ、フォーク、スローカーブと総動員され、40キロ以上の球速差についていけなかった。

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