パドレスのインターンで見習い中。斎藤隆が目指す「野球人の仕事」

  • 田澤健一郎●文 text by Tazawa Kenichiro
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

「グラウンドの状態はいかがでしょう? 何か問題はございませんか?」

 北海道日本ハムファイターズのピオリアキャンプ初日は、この地では年に数えるほどしかない雨模様だった。思わぬ天候の乱れ。現地アリゾナのグラウンドキーパーが心配になるのも......ん? 日本語? しかも声の主は選手に勝るとも劣らないたくましい体つき......。その人の正体は昨季限りで現役を退いた元楽天の斎藤隆氏であった。

日米通算112勝をマークし、昨年現役を引退した斎藤隆氏日米通算112勝をマークし、昨年現役を引退した斎藤隆氏

 なぜ彼がファイターズのキャンプ地で、フィールド・コンディションの心配をしているのか?

 じつは斎藤氏、今季よりMLBサンディエゴ・パドレスの球団スタッフに転身。主に編成部門の業務に就いている。今回はファイターズのキャンプ使用球場がパドレスの施設ということで、サポート役を命ぜられたのだという。

「選手や首脳陣には『要望があったら何でも言ってくださいね。可能な限り対応しますので』と話しています。まあ、選手たちは話しかけにくそうですが(笑)」

 それはそうだろう。斎藤氏といえば日米通算112勝139Sを記録した名投手。パドレスでの業務と並行して、今年は侍ジャパンの投手コーチも務める。冒頭の言葉も同年代のコーチに冗談半分でかけたもの。しかし、言葉はおどけているが、「でも本当にクレーム対応も仕事なんですよ」と、時には自らトンボを手にしてフィールドを整備。真摯な姿勢で職務に取り組んでいる。

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