阿部慎之助の「捕手復帰」で巨人がもくろむ、これだけの好影響

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ゆっくりと宿舎からジョギングし、さらに、宮崎総合運動公園内にある木の花ドームに着いても、阿部慎之助の足は止まらない。1月21日からスタートした宮崎での自主トレーニングは計1時間以上、走り続けることから始まった。

 昨秋も川崎市のジャイアンツ球場で脈拍を測りながら、ジョギングしていた。年明けに宮崎入りするまでグアムで行なっていた練習でも、連日、まずジョギングから始めていたという。決してペースは速くない。

今シーズン、再び捕手としてプレーすることになった阿部慎之助今シーズン、再び捕手としてプレーすることになった阿部慎之助

「ランニングが好きになったよ」と笑い、そして「有酸素運動だから体脂肪を減らせられる」と狙いを明かした。若い頃のような体のキレを取り戻すことで、それが守備にも、打撃にも好影響を与えるというのだ。今シーズンに懸ける思いは人一倍強い。だが、その思いと反比例するように、動きは静かだ。

 昨年はプロ入り以来、ルーキーだった2001年の打率.225に次いで、2番目に低い.242に終わり、15本塁打、47打点も到底、納得のいく数字ではない。「すべての面で成績を残せなかった」と阿部は言う。

 原因をいろいろ探っていると、そのひとつに調整法があるのではないかと考えた。昨シーズンはオフからハイペースで仕上げ、それがキャンプ中の右足の張りにつながり、シーズン中の故障の一因にもなった。このオフは調整法を180度変え、「プロ入り以来、いちばん遅いペース」でトレーニングを積んだ。

 例年のオフは、年明けから1月中旬までグアムで練習を続け、帰国後、数日してから合同自主トレのため宮崎入りしていた。グアムでは坂本勇人や長野久義らとメニューをこなし、ダッシュ走や打ち込みなどで体をいじめるのが常だった。

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