杉内俊哉が語る「史上最大90%ダウンの理由と復活への挑戦」

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 判明した金額は衝撃的だった。巨人の杉内俊哉が12月10日、東京都内で契約更改交渉を行ない、推定で4億5千万円減の年俸5千万円でサインした。2012年オフの小笠原道大(当時・巨人)の3億6千万円を超え、球界史上最大の減俸だった。

4億5千万円(推定)ダウンの年俸5千万円でサインした杉内俊哉4億5千万円(推定)ダウンの年俸5千万円でサインした杉内俊哉

「今年はシーズン途中で戦線を離脱し、チームの4連覇のかかる重要な時期に全く戦力になれなかったことをとても悔しく思っています」と不本意な成績に終わった今季を振り返った。

 ソフトバンクからフリーエージェント(FA)宣言し、巨人に移籍して今季が4年目だった。開幕から先発ローテーションを守っていたが、慢性的に痛みを抱えていた股関節の影響が出て、本来の投球を見せられない。

 7月までに6勝6敗、防御率3.95。7月14日のDeNA戦が4回1/3を5失点、同21日の阪神戦でも5回2/3を2失点で降板。2戦続けて試合をつくれず、二軍で再調整することを決めた。患部を休め、状態が上がることを待ったが、一進一退が続いた。

「メドが立たないし、先が見えない。時間がもったいない。手術して、何らかのアクションを起こそう、というのがあった」

 このまま、何もなく時間だけが過ぎていくのは無意味だと感じた。

 杉内自身が「前例が少ない」と認めているように、今回の手術は簡単なものではなかった。特に、しなやかさを特長とする左腕にとっては、下半身の動きに大きく関わる股関節にメスを入れることにためらいがあったことは容易に想像できる。痛みを抱えたままでも、それなりに投げることはできる。今季も、離脱するまでの投球がそれを表していた。

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