85年V戦士が語る「30年ぶり日本一へ、今の阪神に必要なこと」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

9月特集 優勝か? 失速か? 阪神タイガースの秋(6)

「強いのか、弱いのか、よくわからないですよ。今年は......」

 苦笑まじりの一言から古巣の戦いぶりを切り出したのは福間納氏だ。阪神が最も輝いた1985年は、ランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布を軸とした強力打線が強烈な印象として残っているが、中継ぎで58試合(当時は130試合制)に登板し、接戦で数々の勝利を手繰り寄せてきたサウスポーが福間氏だった。30年前の歓喜を知る男は、今シーズンの阪神をどう見ているのだろうか。

阪神の絶対的守護神・呉昇桓(写真右)と捕手の鶴岡一成阪神の絶対的守護神・呉昇桓(写真右)と捕手の鶴岡一成

「チーム打率も防御率もリーグ5位だけど、首位争いをしている。これ自体が不思議なことなんですけど、要は、勝てる試合は勝っているということ。単純に藤浪晋太郎が先発した時、呉昇桓(オ・スンファン)につないだ時はかなりの確率で勝っている。当然、ここからも彼らが投げる時は落とせないですよね」

 66勝のうち13勝は藤浪が挙げたもので、呉昇桓も40セーブをマークしている。つまり、チーム勝利数の多くにふたりが貢献しているのだ。

 近年の阪神はシーズン終盤の失速が定番になりつつあるが、今年は秋になっても4チームが優勝を争っており、これまでとは少し状況が違う。ただ、呉昇桓、福原忍、安藤優也といったリリーフ陣の状態は気になるところだ。

「近年の阪神は、シーズン序盤から1点を守るような戦いが多いから、その影響はどうしても出てしまう。当然、終盤になれば体もきついけど、それよりもずっとそういう試合をやってきたから精神的な疲れが出る。それが、シーズン終盤に失速する大きな原因でした。ただ今年は、ここまできたんだから、なんとか踏ん張ってほしいですよね」

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