DeNA山﨑康晃に「考える力」を与えた7年間の猛練習 (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「走っている間って、フラットな気分になって、いろんなことが考えられると思うんです。失敗したときに『原因は何か?』と考えたり。ただ走っているだけじゃなくて、練習のなかで気づけないことや、いろんなことが気づけたのかなと思います」

 山﨑にとって走ることとは、肉体のトレーニングであるとともに、考えるトレーニングにもなっていたのだ。そして山﨑は、投手にとって「考えること」の重要性を力説する。

「言われていること以外に何かをやらないと、終わっちゃうと思うんです。考えないピッチャーって、引き出しがない。同級生や後輩を見てきても、才能はあるのに、考えることをおろそかにして、『もったいないな』と思うこともたくさんありました」

 今季、新人ながら開幕からクローザーを務め、39試合に登板して24セーブをマーク(7月26日現在)している山﨑。プロレベルにすぐさま適応できたのは、高校・大学時代の猛練習で培ってきた「考える力」が大きな土台になっているに違いない。

 取材を終えて、インタビュールームを出ようとする山﨑に最後「シーズンの疲れは出ていませんか?」と聞いてみた。すると、山﨑は爽やかな笑顔を浮かべて、こう言った。

「全然ないです。だいぶ今までの貯金があるので!」

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