阪神・藤浪晋太郎、3年目の飛躍を生んだ「正しい脱力投法」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 プロ3年目を迎えた藤浪晋太郎(阪神)が、着実に成長を遂げている。高卒1年目のシーズンに10勝6敗、126奪三振、防御率2.75をマークすると、2年目の昨年は11勝8敗、172奪三振、防御率3.53。そして今シーズンも、ここまで(7月10日現在)7勝4敗、115奪三振、防御率2.17と素晴らしい成績を残している。奪三振はリーグトップで、勝ち星はリーグ3位タイ、防御率はリーグ4位と、タイトル奪取の期待もかかる。

現在、チームトップの7勝をマークしている藤浪晋太郎現在、チームトップの7勝をマークしている藤浪晋太郎

 一見、順風満帆のように見えるが、5月8日の時点では2勝5敗と負けが先行し、不安定な投球が続いていた。しかし、5月14日のヤクルト戦で9回1失点の好投で3勝目を挙げると、続く20日の巨人は完封勝利。27日の楽天戦は勝敗こそつかなかったが、10回を無失点に抑えてみせた。その後も、6月は4試合に先発して3勝0敗。7月5日のDeNA戦でも8回1失点の好投で7勝目を挙げた。

 藤浪が復調した原因を探っていくと、"脱力投法"と"バッテリーの相性"という2つのキーワードが浮かび上がってくる。

 まずは、春先の不安定な投球について、解説者の野口寿浩氏に話を聞くと、「脱力投法が悪い方向に出たのかもしれない」と指摘する。脱力投法は、オフに広島の前田健太との自主トレで学んだと言われている。

「脱力投法とは、ランナーがいない場面でリラックスして、ピンチの時にギアを上げることだと思うのですが、開幕直後の藤浪はちょっと脱力しすぎているように見えました。脱力することでフォームのバランスも変わってくるので、コントロールにも狂いが生じてしまい、結果、フォアボールでランナーを出塁させる場面が多かった。でも、勝ち始めてからは、それがなくなりました。昨年のように常に全力でもないし、脱力しすぎることもない。ちょうどいい感覚のところを見つけられたんだと思います」

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