巨人・高木勇人の野球人生を変えた「魔球」との出会い

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 巨人ドラフト3位ルーキー・高木勇人が3月29日のDeNA戦でプロ初登板初勝利を挙げたのに続き、4月5日の阪神戦では今季両リーグ新人一番乗りとなる完封勝利を達成。巨人の新人がプロ2戦目以内に完封勝利を挙げたのは、1961年の村瀬広基以来、球団史上54年ぶりの快挙だった。

4月5日の阪神戦でプロ初完封を飾った巨人のルーキー・高木勇人4月5日の阪神戦でプロ初完封を飾った巨人のルーキー・高木勇人

 高木は「まだ実感がないというか。結果が完封というだけで、助けてもらった場面もありました。一球一球大事に投げました」と振り返った。

 今から8年前の2007年、高木は三重・海星高のエースとして活躍。甲子園には届かなかったもののチームを県大会ベスト4に導き、プロ注目の投手としてドラフト候補に名を連ねた。その年の秋、「プロの世界で挑戦したい」と志望届を提出するも、どこからも指名はなかった。おまけに、県内のライバルだった宇治山田商の中井大介が高校生ドラフト3巡目で巨人から指名を受けた。高木は取り残された気持ちになった。

 高校卒業後は社会人野球の三菱重工名古屋に進み、再びプロを目指したが、指名解禁となる3年目を迎えても声はかからなかった。その後も、毎年のように獲得候補リストに名前は挙がるが、「力のある投手だが、特長がない」という評価しか得られず、5度も指名から漏れた。

 そんな高木に転機が訪れたのは、社会人4年目のことだった。「何か自分の武器になる球種がほしい」と、高木はカットボールの習得に励んだ。だが、三菱重工名古屋の指導者から「ストレートの制球が良くなってからじゃないと、試合で使わせない」と厳命される。そこから高木の闘争本能に火がつき、猛練習を開始。誰よりも多く走りこみ、誰よりも多く投げ込みを行なった。

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